「10年ほど前と比較すると女性のお客様は増えている」

美容室独自のサービスや高額な施術料金を負担に感じる消費者が増えている現状について、ヘアカット専門店「QB HOUSE」などを展開するキュービーネットホールディングスの担当者に話を聞いた。

「地域差もありますが、10年ほど前と比較すると女性のお客様は増えているのではないでしょうか。データを見ますと、(全国平均では10%ほどですが)地域によっては15%が女性というところもあります」

担当者によれば、同社では店舗の登録区分は「美容所」登録が約67%、「理容所」登録が約30%、美容・理容併設が約3%となっており、「理容室/美容室」と営業形態を分けているわけではないものの、女性客の増加を実感しているという。

ヘアカット専門店「QB HOUSE」(写真提供/キュービーネットホールディングス株式会社)
ヘアカット専門店「QB HOUSE」(写真提供/キュービーネットホールディングス株式会社)

「女性のお客様からよく聞かれるのは『美容室と美容室の間に使う』という声です。つまり、髪型をガラッと変えるときは美容室に行って、少し毛先をそろえるとか枝毛が気になるというときに来店されることが多いようです。

また、最近は女性でもツーブロックのスタイルにされる方が増えていますが、刈り上げた部分だけを整える目的で来店される方もいらっしゃいます。女性に限らず、『お気に入りのヘアスタイルを維持したい』というお客様が多いです。物価高の中で、美容室と効率よく使い分けをされているという印象があります。

また、商材の売り込みをされないというのも、美容室との違いかもしれません。シャンプーやトリートメントなどを売り込んでこられたりするのが嫌いなかたはいいかもしれませんね」

女性の従業員も多いヘアカット専門店「QB HOUSE」(写真提供/キュービーネットホールディングス株式会社)
女性の従業員も多いヘアカット専門店「QB HOUSE」(写真提供/キュービーネットホールディングス株式会社)

さらに、同社ではこんな取り組みもしているという。

「理容師や美容師の免許を持つ、子育てを終えた40~50代の女性を積極的に採用させていただいています。そうした方々は子育てでブランクがあり、顧客も持っていないことが多いため、一般的な理美容室では不採用にされてしまいます。我々は『ロジスカットスクール』という社内研修制度を設け、ブランクのある女性に向けても研修を行なっています。QB HOUSEで働く女性が増えてきたことも、女性のかたが入りやすくなってきた要因の一つではないかと見ています」