「おのれの所業を見せてやろうと思っていました」
被告は、2022年ころから自宅前を散歩中の竹内さんや村上さんから毎日「ぼっち」や「きもい」と言われていると妄想を抱き、犯行に及んだとされている。
竹内さんと村上さんは、歩調が合うことから意気投合し、夕方から一緒にウォーキングすることを日課としていた。
事件当日の午後4時ごろ、いつものように竹内さんと村上さんは、のどかな田舎道をウォーキングをしていた。そのとき突然、被告が目の前に立ちはだかったのだ。被告は、刃渡り約30センチの「ボウイナイフ」を竹内さんと村上さんの身体に執拗に振りかざし、致命傷を負わせて即死させた。
また、被告は二人を刺殺した後に自宅から台車を持ち出し、路上に倒れていた竹内さんを乗せて自宅へと運び込んだのだ。そして、事件発生から約12時間後に被告が逮捕され、ようやく竹内さんの遺体を救出することができた。
竹内さんの遺族は法廷で、被告に対して語気を強めながらこう述べた。
「許されるなら、母と同じように、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も……。傷つけたいです」
さらに事件後、現場を捜索していた警察から竹内さんの遺骨が発見されたと連絡があったという。被告は竹内さんを身体から骨の一部が外れるほどの力で攻撃したことになる。
「本人の残忍な行為に怒りが増しました。私は、スマホでその骨の写真を撮って、法廷で本人におのれの所業を見せてやろうと思っていました」
村上さんの遺族も、「あの日を境に、お母さんの人生も私たちの人生も根底から奪われました」と強い怒りをにじませた。そして、法廷での被告の態度について、「まるで他人事のような様子を見て、不快です」と憤り、こう述べた。
「(被告は)両親に敷かれたレールの上で生きて、はじめて自分で決断したことが、人を殺すこと。その被告人の決断に愚かさを覚えています」