人材投資に向けた業績改善も進んだ 

会社の成長には優秀な人材の獲得が欠かせないが、現在は景気が好転したことで新卒者は引く手あまたであり、超売り手市場だ。マイナビが調査した2025年卒の大学生が選んだ人気業界のランキング10位以内に飲食業界は入っていない。高度な人材を獲得するためには、トリドールやすかいらーくのように条件を上げるほかないのだ。

インフレで企業の財務状況が好転した影響も見逃せないポイントだ。トリドールは2025年6月末時点で現金と現金同等物が792億円も積み上がっている。2025年4-6月の本業で稼ぐ事業利益は前年同期間の1.4倍に膨らんだ。

多くの飲食企業は原価の高騰を値上げで巧みにカバーすることができた。コロナ禍で不採算店の整理もしたため、収益力や生産性が向上しているケースも多い。システムなどの自動化ツールへの投資がひと段落したとなれば、人材への投資に回す資金的な余裕ができたわけだ。

店長が高報酬を得られるという流れが一時的なものではなく、別の企業も採用するとなれば、飲食業界が変化するのは間違いないだろう。サービス力の向上に期待ができるからだ。消費者にとって歓迎すべき動きである。

コロナ禍では巣ごもり需要もあり、「うどん弁当」が爆発的な売上となった
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取材・文/不破聡 撮影/集英社オンライン編集部