プロデューサーが涙した撮影現場の裏側
――『217円の絵』はもともと2時間サイズの長尺原稿だったとのことですが、今回30分枠のドラマに縮めることで、苦労した点などはありましたか。
中村花乃子(以下、中村) 脚本の良さを生かしたまま、短くするという作業は、とても大変だったと思います。元の脚本はテンポ感も大事にしているし、長編バージョンだと伏線がたくさんはられているので、短尺で伏線をどう詰め込むのか、何度も話し合いました。
今作は受賞者だけでなく、コンテスト全般を担当した中村氏にとってもプロデューサーデビュー作となる。
佐藤 日テレのコンテストに応募してくれた優秀賞の方々を中心に『ライターズベース』というチームを作りました。日テレのプロデューサー陣と新しい才能がぶつかり合って新しい何かを生み出していければと思っていますが、そのチームを率いていたのが中村なんです。
彼女自身、『217円の絵』をドラマ化したいという想いが人一倍強かった。実際に現場で風間俊介さんの芝居を見て泣いている中村を見られてよかったです(笑)。
中村 脚本上では絵の印象とか映像のイメージが湧きづらい箇所もあったので、それが目の前で形になる様子をみて、涙が溢れましたね(笑)。
――コンテストの作品をドラマ化するという手ごたえは、いかがでしょう。
佐藤 才能と才能の出会いの瞬間に立ち会えるのはとても幸せなのですが、素晴らしい作品には必ず縁を感じるんです。今回も素晴らしい脚本に対して、野尻克己監督や主演の風間俊介さん、齋藤潤さんがとてつもない熱量で臨んでいただいた。多忙を極める風間さんは脚本を読んで『スケジュールを調整してでも出たい』とおっしゃっていただいた。才能と想いが縁あって上手く結びついて素晴らしい作品に仕上がったと思います。
日テレの今年10月期日曜ドラマ『ぼくたちん家』の脚本は、日テレシナリオライターコンテストで2023年度審査員特別賞を受賞した期待の新星・松本優紀さんが手掛ける。今後も、コンテスト受賞者の活躍が予定されている。