コンテンツ消費者の「損したくない」という思考
――この18年間で配信事情もかなり変わってきたと思いますが、今の視聴者に響きやすいテーマやキャラクターの傾向ってあるんですか。
佐藤貴博(以下、佐藤) 他局含めてテレビ業界全体でドラマのジャンルが偏っている傾向はあります。例えば、刑事もの、医療もの…みたいな感じで。
中村花乃子(以下、中村) ひと昔前は、顔も性格も良くて仕事も完璧にこなす『完璧なヒロイン像』が支持されていましたが、今はどこか身近に感じられるような『共感できるヒロイン像』が求められていると感じます。
例えば、仕事は完璧だけど家では抜けているとか、恋愛も完璧そうに見えるけど実は下手とか、愛されるキャラクター性が重要視される時代ですね。
――最近の視聴者は、どんな基準でコンテンツを消費していると思われますか?
佐藤 時間のことも含めて『損したくない』んだと感じます。『つまらないものに時間をかけたくない』という想いがより一層強くなっている。だから、みんなが面白い、もしくは面白そうと言っているものに消費が寄り過ぎてしまっている。
そのため、すでにヒットしている原作をドラマ化する方が視聴者側も制作者側も安心感があるから、原作付きの作品が多くなっている傾向はあります。やはり原作付きでもオリジナルでも、視聴者の皆さんに『面白そう』と思わせるフックがないと今の時代はダメだと思っています。