定額のストリーミングサービスが流行る理由 なぜ人はギャンブルをやめられない?

人は何かにお金をつぎ込むと、その分を取り戻そうとします。これを「サンクコスト効果」といいます。サンクコストとは、回収できないコストのことです。

パチンコに代表されるギャンブルなどは、そうした人間の性質によって成り立っていますが、一般のビジネスでもサンクコスト効果は利用されています。

定額料金で動画や音楽を配信するストリーミングサービスもそのひとつでしょう。

「お金を払っているのだから、モトを取ろう」と、せっせと私たちは動画を見ます。すでに支払ったお金は取り戻せませんが、その支払っただけの満足感を得ようとするわけです。

毎週、あるいは隔週で刊行される分冊百科の本も、サンクコスト効果を巧みに利用したビジネスです。

1号ずつそろえていき、すべてそろえばまとまった百科事典として完成します。最近は付録で1号ずつパーツが送られてきて、ミニチュアモデルなどを完成させていくタイプも増えています。

これを完成させるには途中でやめるわけにはいきません。「ここまで続けてきて、いまさらやめられるか」という、まさにサンクコストを突いたビジネスといえます。

これまでかけた費用を考えると、人はなかなか途中ではやめられない
これまでかけた費用を考えると、人はなかなか途中ではやめられない
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なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門
池上彰
なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門
2025/8/13
1,590円(税込)
192ページ
ISBN: 978-4054070509

★★世界が注目!ビジネスに効く!池上彰氏が解説★★
行動心理を読み解く最新理論【行動経済学】がわかる!
基礎からあらゆるビジネスの場面での使い方まで、豊富なイラストとわかりやすい解説で、サクッと理解できる!

●行動経済学を知らないとマズい時代が来ている!?
本屋さんで経済学のコーナーを眺めてみてください。いまや行動経済学の本が多く並んでいるはずです。こうした傾向は日本だけではありません。世界のビジネスエリートや大学、そして名だたる企業からも行動経済学は注目されているのです。

◆人間は感情や思い込み、状況に左右されている…
「人間とは何か」を追求すればビジネスにも役立つ!◆
・売上を上げたいなら、二択よりも三択!
・「損したくない」が行動を決めている!
・人を操る魔法の理論「ナッジ」とは?
・人は必ずしも合理的に行動しない!?
・あぶく銭ほど散財してしまうのはなぜ?
・値下げするなら「アンカリング効果」を使うべし!
・「成功率95%」と「失敗率5%」の違いは?

※2022年に弊社より刊行された『池上彰の行動経済学入門』の大幅増補改訂版です。

【もくじ】
●Introduction そもそも行動経済学とは何か?
●序章 経済は「人の心」で動いている!行動経済学のキホン
●第1章 身近にあふれる!行動経済学を利用したビジネス戦略
20円の差で売れ行きは伸びる?/「くわしくは○○で」が気になる理由/クラウドファンディングはなぜ流行したのか?/「当店の人気No1」などのポップが有効なのはなぜ?/ヒット商品の鍵を握るMAYA理論とは? ほか
●第2章 意思決定をする直感「ヒューリスティック」とは?
推しのグッズを買い集めてしまうのはなぜ?/なぜ人は損切りがうまくできない?/人はなぜ民間療法を信じやすいのか?/血液型がB型の人はマイペースというのはホント? ほか
●第3章 「損したくない」が行動を決める!?「プロスペクト理論」とは?
ベストな選択をするための「プロスペクト理論」とは?/損失を避けたい心性を証明する「価値関数」/宝くじ当選の夢を人はなぜ見続ける? ほか
●第4章 人は将来よりも「今」を重視する!「現在バイアス」「社会的選好」とは?
1年後の2万円より今日の1万円を選ぶのはなぜ?/空腹時にスーパーに行くとつい買いすぎるのはなぜ?/買い替えの足かせになる「スイッチングコスト」とは? ほか
●第5章 人を操る魔法の理論「ナッジ」とは?
そっとヒジでつつく「ナッジ理論」とは何か?/健康増進型保険は本当に健康に役立っている?/ビッグデータで「個別ナッジ」の時代に/ナッジの危険性と正しい使い方を知ろう! ほか
●第6章 行動経済学が切り拓く未来
「利他性」が生み出す新たな経済活動/SDGsを達成するためにも力を発揮! ほか

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