ものまねをジャンルにした“ものまね四天王”のすごさ

『HRF』はものまね芸人のホリと企画・主催していたライブ『変人』がひと段落した原口が、2023年からスタートさせた、ジャンルを問わないコラボフェスだ。とはいえ、その中心はやはりものまね芸人たちで、歌まね勢をゲストに招くときは、まず人となりを確認しているという。

ジャンルを問わないエンターテイナーが集まる原口あきまさロックフェス(写真/本人提供)
ジャンルを問わないエンターテイナーが集まる原口あきまさロックフェス(写真/本人提供)

「時代だから歌まねは見せたいんです。でも『イジってキレられたらどうしよう』って不安があるので、まずは食事会を開きますね。それで、大丈夫そうだなと確信してからオファー(笑)。こっちはOKでも、向こうが『本当はやりたくなかった』っていうのが一番イヤなので、歌まねの人に無茶ぶりをするのは本当に勇気がいるんです。

人間関係でバチバチになることはやっぱりあるんですよ。こっちがよかれと思ってやったことでも、ネガティブに捉えられていろいろ言われると、その人のためになってないなら僕のせいだし、それは申し訳ないと思って身を引きます」

ものまね芸人が苦手。それでも、原口には守りたいものまねの居場所がある。

「やっぱり(ものまね)四天王(清水アキラ・ビジーフォー〈グッチ裕三・モト冬樹〉・栗田貫一・コロッケ)は、ものまねをお笑い界のひとつのジャンルにしたことがすごい。わずか数年という短い期間でがんばって、芸能界の中にひと枠を作ってくれました。

それを僕らの世代が消すわけにはいかないです。今はコロナ期間の動画配信ブームもあって、顔を隠して気兼ねなくものまねができるようになったので、ものまね人口も増えている気がしますね」

かつて、ものまねは、おもしろ素人がスターになる足掛かりだった。とんねるずや竹中直人、のちにものまね四天王となるコロッケや清水アキラを輩出した『お笑いスター誕生!!』だけでなく、素人ものまね番組も数多く存在した。ショート動画の需要が飛躍的に増したSNS時代の到来による、その原点回帰の空気も感じている。

「本当にそう思います。だから、僕らみたいな珍獣は、またやりやすくなっているんですよ(笑)。若い人たちには自分たちの世代のものをどんどんやって引っ張っていってほしいです。ただ、最近のものまね芸人は“ご本人公認”を求めすぎているんじゃないかとも思うんですよ。

みんな『公認いただきました』って喜んでいるけど、僕は『お前、なに俺の真似やってくれてんだよ!』と言ってくれるほうがやりやすい。公認をもらうと守りに入っちゃうし、下手にスベれないですから」