ものまねの本人公認・非公認問題
どれだけ派手に誇張をしていても、「リスペクトしてます」を免罪符にするものまね芸人も少なくない。
「『リスペクトしてます』って言っとけばいい、みたいなのもやめろやって(千原)ジュニアさんにも言われますし(笑)、ケンコバ(ケンドーコバヤシ)さんは頑なに『俺のものまねだけは似てへん』って言い続けてくれます。それを周りが『いや、似てますよ』『似てへん!』ってやりとりを楽しんでくれていて。
だから、もしご本人にお会いしたら土下座してそれっきり。あとは、なるべく会わないようにこそこそ生きていくのが一番なんですよ。ちなみに、今度の30周年ライブでは、公認とは別に、ご本人さんに謝りに行くロケ企画をやろうかなと思っているんです。誰のところに行くかは内緒ですけど、楽しみにしていてください」
現在、原口は芸能生活30周年を記念した、15年ぶりの単独ライブ『我夢謝裸(がむしゃら)』の準備中だ。福岡公演に松村邦洋と江頭2:50、大阪公演にロバート秋山と兼光タカシ、そして東京公演には清水ミチコとコージー冨田など、豪華なゲストも予定されている。
「なるべく今まで絡んでない人と一緒にやりたいと思ってお願いをしたんですが、東京公演では久々に“コージー&原口”を見たいかなと思って、コージー冨田さんにお声がけしました。ABEMAのコージーさんのドキュメントを見たんですが、あんなに(糖尿病が)悪くなっているとは思ってなかった。
でもステージで奮闘してる姿を見て、ちょっとでも力になれるならと思ったんです。ちょうどジョニー志村さんのタモリさんに、さんまさんにもほい(けんた)さんが出てきて、ひと昔前のさんま&タモリ(原口とコージー)が、今のさんま&タモリをどう見ているか話すのも面白いんじゃないかって。僕らならもうネタ合わせなしでできますから」
コージー冨田との本格的な共演は十数年ぶりだという。現在、コージーは糖尿病を患い、6年前からほとんど目も見えない状態というのだが、この2人ならば、決してただのお涙頂戴にはならないだろう。
「ドキュメント番組で見たんですけど、コージーさん用のステージのバミリ(立ち位置となる目印)がめちゃくちゃ大きくて、笑っちゃったんです。これもイジったろうかなって。ご本人も『笑いにしたい』と言っているみたいですし、笑いにできるのは、やっぱりこの絡みだと思うんです。
ただ、僕が“介護”みたいにならないように、コージーさんにもフルでがんばってもらいますから(笑)。もちろんいいことばかりではなかったけど、コージーさんの1000本ノックを受けたから今があると思いますし、こうやってものまねで憑依してしゃべれているのも、あの鍛錬のおかげだと思ってます。だから、そこは本当に恩返しの気持ちですね」
#1「さんまのものまねをしすぎて自分がわからなくなった」
#2「ものまね番組に出なくなった理由」も併せて読む
取材・文/森野広明 撮影/石垣星児