ものまね界のタブーが解禁されたターニングポイント

2012年に原口が、ものまね芸人のホリとともに立ち上げた自主ライブ『変人』は、そんな危機感の延長にあった。

「とにかくテレビ局の垣根を越えたかった。なんでものまね芸人がものまね番組に出られないのか、それが一番の理不尽ですよ。実際、演者同士は仲がよくて、営業で即席コラボをすることも多かったんです。もちろん笑いだってそのほうがプラスになります。その経験から『演者だけでライブをやれるんじゃないか』と考えるようになりました。

僕とホリの汐留組(日本テレビ)に、お台場組(フジテレビ)から世代の近いミラクルひかる、山本高広を呼んで、わざと招待席にお台場と汐留のスタッフさんを横並びに。そのリアクションをこっちが楽しんでました(笑)。演者が力を合わせればこんなエンタメができるんだっていうのを見せたかったんですよ」

ホリとともにライブ『変人』を主催する原口
ホリとともにライブ『変人』を主催する原口

『変人』はチケットの即日完売が相次ぐ人気イベントとなり、全国ツアーも展開するまでになった。その成功もあり、2014年には『ものまねバトル』と『ものまね王座』が交流戦を実施。長きにわたってものまね界を苦しめたタブーの解禁へとつながった。原口の動きは、確実にその世界の可能性を広げたといえる。

「自分で言うのも恥ずかしいんですけど、もっと評価されていいと思うんですよ(笑)。(千原)ジュニアさんからも『けっこうなサムライやんな〜』って言われましたけど、今では何のしがらみもなく、みんなどのものまね番組にも出られるようになりましたからね。

実際、僕も『ものまね王座決定戦』に出られたときはうれしかったです。幼い頃から見ていた『ものまね王座決定戦』だし、ものまねに魂を売ってからは、ずっと出たい番組でしたから(笑)。あの交流戦は、リアルにものまね界のターニングポイントだったと思います」

ものまね界のタブーが解禁された余波は、ものまね番組以外のバラエティにも広がっていった。TBS系のバラエティ『金スマ』(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)でたびたびものまね特番が組まれるようになり、テレビ東京でも2021年から不定期で特番の『ものまねランキング』が放送されるようになった。

他にも、フジテレビ系『千鳥のクセスゴ!』内の「勝俣歌謡祭」など、ものまねを軸とする人気コーナーも次々と生まれ、ものまね芸人が集う場面では、原口が回し役を担うことも多い。