「意外と凌辱ゲーの作詞が得意(笑)」
――KOTOKOさん自身も美少女ゲームはプレイするんですか?
いえ、PCゲームと言ってもほとんどWindowsでしかできないので、Macしか持ってない私はじつはプレイしたことがないんですよね……。
でもシナリオをいただいてそれを読み込んで歌詞を書くので、やったつもりではいます(笑)。
――シナリオを読んで一番お気に入りのタイトルはありますか?
ゲームだと、私もたくさんお仕事させていただいた『BALDR』
――KOTOKOさんはどのようなことを意識して作詞をするんですか?
作品の世界観をうまく歌に取り入れることです。やはり主題歌は作品の一部なので、オープニング曲だったら本の表紙、エンディング曲だったら最後の1ページだと意識してつくっています。
――美少女ゲームも萌えゲー、燃えゲー、泣きゲー、鬱ゲー、凌辱ゲーといろいろありますが、作詞する上で得意なジャンルは?
意外と凌辱ゲーかも(笑)。例えば、『Lupe』(『凌辱制服女学園 ~恥蜜に濡れた制服~』エンディングテーマ)という曲だと、ゲーム自体が“監禁ゲー”なので、その設定を踏襲して自分が蝶の標本にされるという世界観で歌詞を書いたりとか。
――なるほど(笑)。
直接的な表現はしないけど、プレイした人ならわかるような歌詞を書くようにしてます。ただ、燃えゲーや泣きゲーより凌辱ゲーの発注のほうが資料が全然なかったりするんですよ。
ひどいときは作品タイトルと主人公のプロフィールしかないこともありました。まぁそれはそれで妄想の余地がたくさんあるので楽しんでますが。
でも、最近はご時世的に凌辱ゲーも少なくなっていますけどね。
――凌辱ゲーに限らず、美少女ゲームメーカーやブランドの倒産が相次ぐなど、苦境に立たされていますね。
そうですね。私もたくさんお世話になったブランドの「戯画」さんもなくなってしまって悲しいです。2000年代初頭、マイノリティだった文化を一緒に盛り上げた仲間でしたから。これからも時代的に厳しくなっていくんでしょうね……。
――KOTOKOさん自身も最近は美少女ゲーム主題歌を担当することが減っていますね。
美少女ゲームもアプリなどソーシャルゲームとして開発されることが一般的になって、そういうタイトルは主題歌がつかないことも多いんです。昔を知ってる人からするとちょっと違うものになってるかもしれません。
でも、2000年代初頭のPCゲーム文化が現在につながる世界に誇れる日本のサブカルシーンの一端をつくってきたのは確かですし、発信の形態は変わっても、ゲームやアニメの世界と関わって歌い続けていきたいなと思っています。
――最後に今後の目標をお聞かせください。
とりあえずツアー(「KOTOKO LIVE TOUR 喜怒哀楽」)が2026年の春まで続くので精一杯がんばること。あとは現在レコーディングしている新曲が少し変わったおもしろい曲なので、この曲をできるだけ多くの人に聴いてもらうこと。
そして、何よりシンガーとして、ソングライターとして、
――本日はライブでお疲れのところ、ありがとうございました!
取材・文/武松佑季
撮影/二瓶彩