東洋大は“資料”を百条委に提出

さらに市長としての能力に疑念を抱かせる場面も展開された。

会見中、7月30日のカムチャツカ半島付近の地震による津波に絡み、市政の混乱で副市長の空席が続く伊東市は災害時の体制に問題があるとの指摘と、緊急時の指示体系をたずねる質問がでた。

田久保市長はこれにもキレ気味に「何度も何度も申し訳ないんですが、議事の進行の方、まずしっかりとさせていただきたい」と述べ、答えを拒もうとした。

だが問題は市民の安全に直結する。記者が「把握していないのか?」と強く詰めると、田久保市長は逃げられないことを悟る。だがここで突然、市長は同席した市幹部らに緊急時の序列を聞き始めたのだ。7月30日には伊東市沿岸にも津波警報が発令されている。その時も頭に入っていなかったらしい。

田久保市長の机(撮影/集英社オンライン)
田久保市長の机(撮影/集英社オンライン)

殺伐とした会見の終了から約4時間後、学歴詐称疑惑を調べる市議会百条委が最後の会合を開催。ここで、田久保市長を地方自治法違反容疑で刑事告発する方針が決まった。

東洋大を卒業したと嘘をつき、これを否定するため百条委で偽証するなど調査を妨害したという理由だ。

「田久保氏は当選後に市の広報誌に『東洋大卒業』と掲載させ、偽造の疑いがある“卒業証書”を中島弘道市議会議長らにチラ見せして卒業したと主張しました。しかし騒動が大きくなると『卒業したと思っていたが6月28日に東洋大へ行くと除籍されていたことを初めて知った』と言い始めました。卒業したと勘違いしていたので詐称ではない、との論理です」(地元記者)

この言い分に対し百条委は、東洋大が提供した資料などから「通常の常識をもってすれば勘違いが起こりうる状況ではなかった」(井戸清司委員長)と判断。卒業できなかったことを認識してきた田久保市長は偽の卒業証書を使って大卒と称してきた、と断定した。

百条委は個人情報だとして東洋大の回答の内容を明かしていないが、市政関係者が打ち明ける。

「29日付で届いた回答を根拠にした報告書文面が同日夕方には完成しており、大学は以前から百条委に協力してきたようです。

東洋大は規定により田久保氏が卒業したかどうかは答えていないはずです。しかし代わりに本人が“卒業できるわけがない”と思っていたことを明確に示す資料を出しました。これは“田久保氏が取得した単位数が卒業に必要な水準に遠く及ばないこと”を示すデータのようです」(関係者)

8月13日、伊東市議会百条委員会で証人尋問を受ける最中、弁護士と相談する田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
8月13日、伊東市議会百条委員会で証人尋問を受ける最中、弁護士と相談する田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)