想像を超えるストーカーの実態
防犯アドバイザーの京師美佳氏は「ストーカーは私たちの想像以上に、細かなところを監視して、一人暮らしかどうかを判断したうえで犯行に及ぶ」と指摘する。
「女性が狙われるのは、①駅、②オートロックまたはエレベーターの入り口付近、③玄関前、の計3ポイントが多いです。
特に注意してほしいのは、夜道に歩きスマホなどをしていると、後ろから近づく足音に気づきづらいことです。できれば、音楽を聴きながらや、LINEをしながら歩かないでください。
また、ストーカーはコンビニやスーパーで買い物をしているときに割り箸が1膳だったり、アイスクリームを1個だけ買っていたりすることを見ています。1膳ということは一人暮らしの可能性が高いですし、(溶けやすい)アイスクリームを買うということはここから近所に住んでいるということを、知らずに教えてしまうのです。割り箸を多くもらったり、買い物した商品を見えないようにするなど、そういった工夫が求められます」
また、オートロックやエレベーター内でも気をつけるべきことがあるという。
「オートロック前で後ろに人が立っていて、この人なんだろうと不審に思ったときは、『お先にどうぞ』と先に相手の鍵でロックを開けさせて入らせてください。
それでも入ってきてしまった場合はポストの前に立たないこと。名前や部屋番号がバレる可能性があります。
エレベーターでも不審に思ったら、先に譲るべきですし、夜間は知らない男性とエレベーターに同乗しないことです。もし、無理にでも乗り込んできた場合、降りてくださいとは言えないので、電話がかかってきたふりでエレベーターを出るほか、エレベーターの操作ボタン付近で非常ボタンのところに手をかけ何かあったらボタンをすぐ押せるよう準備しつつ、背中が壁になるように立ち、羽交い締めされないようなポジショニングが推奨されます」
ストーカーによる無差別的な犯行はいつ誰が狙われてもおかしくない。今回の痛ましい事件も、遠い世界の出来事ではなく、ひとりひとりが身近な問題という意識を持つことが重要になってくるのではないだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班