「一般論」と「目の前のあなた」は違う
真偽の不確かな若者言説に出会ったとき非常に簡単な解決法がある。若者に直接訊けばいいのだ。そもそも平均的な傾向を知ったとして、なぜ「目の前の人間がそうだ」と決めつける必要があるのだろう。
多くの人に当てはまる統計的一般性を知ることはむろん有用である。しかし仮に示されたデータが統計的な妥当性を満たしていようが、いや統計分析として厳密で正しいからこそ「100%」はあり得ない。
最近の若者の多くがインスタにハマっていることは目の前の若手社員が「必ず」インスタをやっていることを意味しない。若者が飲み会離れをしていたとしても、この前配属された若者が飲み会を嫌がるとは限らない。だからこそ「訊けば」いいのだ。
このand you? にはシンプルな効果がある。「目の前の相手を見ていること」が担保されるのだ。「一般論はこうだからあなたもこうだ」ではなくて「一般論はこうだけどあなたはどうなの?」と話が展開されるべきだ。
若者論の問題は、一般論や平均的な傾向を導くどうこうではない。少数のサンプルから推論を行うことでもない。目の前の人間を「どうせお前もそうだろう」と決めつけることにあるのだ。
若者論は「こんな若者しかいない」と「人それぞれだ」の両極端で揺れすぎていて、レベルの低いところでワケがわからなくなっている。まずはその「一般性」をめぐる混乱を紐解き、傾向と個体の差を認識することからだろう。