逮捕された大学生たちの親「よく外へ遊びに行っているなと思っていた」
逮捕された「大宮赤ラン軍団」のメンバーのひとりの、ある大学生の父親は、「息子とは関わりがそこまでなく、本当になにも知らないんです」と明かす。
「鉄道が好きなことは知っていましたが、どちらかというと女性アイドルグループが好きな印象でした。タオルとかのグッズが部屋にあるんですよね。
不良とかそんな子ではなく、普通の子です。大学にもちゃんと通っていました。よく外へ遊びに行っているなと思っていたが、まさかうちの子が大阪まで不正乗車で行き、窃盗をしているなんて。
警察が家に逮捕しにくるまで何も知らなかったんです。これまで逮捕されたことももちろんありません」
別の“軍団員”の母親はインターホン越しに「ここ最近、息子が家にいないことは多々あった。年も年だし、どこかで遊んでいるのだろうと思っていた。電車好きなことは知っているが、不正乗車して大阪に行っていたことなんて知らなかった」と話しインターホンを切った。
「幹」「おちょ」「尖閣」隠語を使い分け
鉄オタに詳しい30代男性がこう明かす。
「大宮赤ラン軍団のように改札を無理やり突破するなどの行為は、一部の鉄オタグループでも頻繁に行われています。こうした不正乗車で10年前くらいから各鉄道会社も見張りを強化し始めました。
ところが、彼らは隠語を巧みに使って情報共有を行っており、例えば、どこの駅が見張りが厳しく、どこの駅が緩いのか、そしてその時間帯までも把握しているとも聞いています。
彼らはこれまで悪さをしたことがない子などで、不正乗車がバレて駅員から逃げたり捕まったりしたことを武勇伝として誇らしげに語っていたそうです」
この男性によれば、鉄オタ界では、「幹=新幹線」、「おちょ=窃盗」、「尖閣=不正乗車(センサー隠し)」と隠語で呼ばれているという。
万博を対象にした窃盗事件は彼らのグループ「大宮赤ラン軍団」だけではない。
実際に、SNSにはこんな音声のやりとりが流れている。
「●●駅(※編集部判断で伏字)絶対に改札の音が鳴らないんだよね」「ちなみにさ、今日さ万博の収穫さ、Nゲージ(鉄道模型)1つしかないんだけどさ」
今回逮捕された鉄オタグループとは別なものの、万博で窃盗行為をしたという高校生がXのスペース(音声での会話をする機能)で上記のようなやりとりを6月下旬に公開していた。
前出の大阪府警の関係者は「鉄オタグループとはまだ特定できていない」としているものの、「計74万円相当の商品を万引きしたとして、すでに事件化しており、東京都在住の高校生から事情を聞いている」と明かす。
自身も鉄オタだという、ある40代の男性は、
「一部の鉄オタなどが、稼ぎのために不正乗車で全国各地を移動して万引きをしていると聞く。いま大きくターゲットにされているのが万博、同じ鉄オタとして恥ずかしい話です」
言わずもがな無賃乗車も万引きも明確な犯罪行為であり、許されることではない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班