大規模な宗教法人の配当収入は1.9億円
宗教法人の金銭貸付業は収益事業と見なされ、課税対象である。しかし、株式や投資信託の売却益・配当金は原則として非収益事業だ。
文化庁の「宗教関連統計に関する資料集」によると、50人以上の規模の大きい宗教法人の配当収入は1.9億円で、収入全体の12.4%にものぼる。上場企業の売上に占める配当収入は1%程度だから、宗教法人は資産運用をアテにしているというわけだ。
実際、宗教法人が上場企業の上位10位以内の株主に名を連ねることも珍しくない。その原資が駐車場経営などから得られた収益事業の場合は課税対象だが、非収益事業であれば非課税だ。大手金融機関で投資商品を販売する営業部のマネージャーがその実態について話す。
「大手の証券会社であれば、宗教法人を含む公益法人専門の営業チームがあります。地方の支店にとって宗教法人は上客ですよ」
住職の多くは資金繰りに窮しており、金融や経済の知識が乏しいケースが少なくないため、営業担当者による運用で稼ごうという提案は響きやすいという。
「一昔前は個別株の売買を積極的に勧めていましたが、今は堅実な分散投資で投資信託を提案することが多いようです」(大手金融機関・営業部マネージャー)
実は宗教法人の資産運用については手痛い過去がある。宗教法人高野山真言宗が投資した仕組債が、リーマンショックによる株価の暴落で2013年に21億円もの含み損を発生させたのだ。寺の予算を決める宗会の解散を招くなど、責任問題へと発展した。資産運用の負の側面が表面化したのだ。
小規模法人の住職であっても、お布施や寄付金を原資に多額の投資をして損失を出せば檀家の反発は必至だ。逆に大きなリターンを出せば収益事業として国税庁から調査対象となり得る可能性もあり、今は堅実投資がトレンドだという。
しかし、投資信託の販売は証券会社側にとってメリットが大きい。大手証券会社が扱う投資信託は、手数料が高額なものが多い。一般的な投資家は手数料に加えて配当金・分配金などにかかる税金も支払っているが、宗教法人は基本的に手数料を支払うだけになる。税金がない分、証券会社に支払う手数料の影響が小さく見える。
そして投資信託は長期投資がベースとなるため、証券会社は中長期的な手数料収入が見込めるというわけだ。まさにWin-Winの関係である。
いっぽう、課税されている一般の投資家からすれば、宗教法人が非課税であることの納得感は少なく、証券会社が儲けるスキームを提供しているように見えるのではないだろうか。













