実際に「マイシグナル検査」を体験してみた
そんな課題の解決を期待されているのが、「マイシグナル検査」だ。すでに全国1300カ所以上の医療機関や、スギ薬局、ツルハなどのドラッグストアでも提供が始まっており、企業の福利厚生として導入されるケースも増えているという。
そこで筆者も、実際にこの「マイシグナル検査」を体験してみた。
検査方法は非常にシンプル。専用キットで朝の尿を採取し、用意された箱に入れて冷蔵保存。そのままスマホで集荷を依頼し、Craifの検査ラボに郵送するだけで完了する。
約1か月後、自宅に検査結果が書類で届いた。性別に応じて、受けられるがん種は異なるが肺・胃・膵臓・大腸・乳・前立腺・食道・腎臓・膀胱・前立腺の10のがん種について、それぞれ「低・中・高」の3段階でリスクが評価されていた。
また、生活習慣に関するアンケート結果をもとに、将来的ながんリスクも提示される。
今回、30代半ばの筆者の検査結果は、8種すべて「低」リスク。(男性は乳がん・卵巣がんを除く8種)将来的なリスクでは、腎臓のみが「中」リスクという結果だった。
費用は1回あたり6万9300円(税込)。決して安価とは言えないが、早期発見による医療費の抑制や、身体的・精神的な負担の軽減を考えれば、大きな価値があるだろう。
特に、若年発症のがんが増えているという報告もある中で、筆者にとって今回の結果は、心理的にも大きな安心感をもたらすものだった。
そして、この「マイシグナル検査」の今後の展望について、松本さんはこう語る。
「将来的には、トイレにセンサーを設置し、排尿するだけで疾患のリスクが検知される――そんな世界の実現も目指しています」
何気ない生活の中で、病気の兆しをキャッチできる時代が、少しずつ手の届くところにきているのかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部