OTC類似薬の保険適用除外で1兆円の増収効果か?
自民党との連立を果たした日本維新の会は「大阪都構想」や「議員定数削減」ばかりが取り沙汰されているが、吉村洋文代表が党の存在意義としてきたのは「社会保障制度改革」だ。これこそが維新の会の一丁目一番地である。
維新の会は、手取りが増えない原因は社会保険料にあるとし、従業員と雇用主の双方が社会保険料を国に払っていることを問題視。医療費は2040年に2020年比で1.9倍の80兆円必要になるとしたうえで、現役世代にのしかかる負担に対する制度の見直しが必要だと訴えていた。
医療費を年間4兆円削減することで現役世代一人あたり年間6万円の負担軽減になるとし、医療費削減の財源の一つと想定していたのがOTC類似薬の保険適用の見直しだ。
OTC類似薬とは、薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬と成分などが同じであるにもかかわらず、医師の処方が必要とされているものだ。
例えば、OTC類似薬である鎮痛剤「ロキソニン錠60mg」と、薬局で販売されている「ロキソニンS」の有効成分名は「ロキソプロフェン」で、同じものである。「ロキソニンS」を扱う第一三共ヘルスケアはホームぺージで「成分、成分量、添加物、錠剤の大きさ、剤形は同じです。異なる点としては、錠剤に割線、刻印が入りません」と説明している。
そもそも、「ロキソニンS」は2010年に厚生労働省が市販薬として販売できるよう転用したスイッチOTCだ。
要するに全く同じ薬にもかかわらず、「ロキソニン錠60mg」は保険が適用される一方、「ロキソニンS」は全額自己負担になっているというわけだ。
この問題を追及してきた日本維新の会所属の参議院議員・猪瀬直樹氏は、OTC類似薬の保険適用除外による増収効果は1兆円にのぼると試算している。猪瀬氏はOTC類似薬のなかで市販薬と成分が同じ28有効成分をリストアップ。それだけで薬剤費の総額は1543億円だ。
そのなかで、薬剤費が544億円と高額なのが「ヒルドイドクリーム0.3%」だ。この薬は美容目的での購入が広がったことで、医師を悩ませたいわくつきのものである。












