高校進学を前に芸能活動を続ける道が閉ざされる
モデルの仕事と並行し、俳優業をやっていきたいと考えていたリアさんだったが、事務所からはグラビアアイドルへの転向を進められる。
「中学くらいから急激に胸が大きくなってしまったんです。Fカップくらいあって、どうしてもモデル体型からは離れてしまいました。だから事務所の言うことも一理あったとは思うのですが、当時の私には受け入れられませんでした」
事務所との話し合いは平行線のまま。そんな時、芸能活動を続けるにあたって施設でも大きな問題が生じてしまう。
「それまではごまかしごまかし芸能活動をしていましたが、高校受験の時期になって選択肢が狭まりました。まずバイトは禁止。芸能活動も金銭を得るのでNG。さらに進学は公立のみで、進学をしない場合はすぐに施設を出なければいけませんでした」
両親からは連絡がたまにくる程度で引き取ってくれる様子はなく、芸能活動を続けていく道は閉ざされてしまった。
「またか…って感じでしたね。また親がいないことで希望することを選択できない。事務所とは方向性の違いでギクシャク。施設にいるなら高校に行って芸能活動を3年休まなければならないし、高校に行かないなら施設を出て1人暮らし。
ハンデがあっても頑張っていればきっといつか…って信じて頑張ってきたけど、親とお金がないと無理なんだという現実に直面して絶望しました。もうどうにでもなれって」
リアさんは自暴自棄になり、高校に進学することもせず、施設も脱走した。そして、一人暮らしをしている友人の家に住むようになる。昼はコンビニ、夜は飲食店と二足の草鞋を履いてフリーターとして生活をするようになった。
「コンビニのオーナーがすごくよくしてくれました。面接で生い立ちの話をしたからか『お前はもう俺たちの家族だ』と、バイトのない日にご飯に呼んでくれたり、子どもや奥さんと一緒に映画やプールに行ったりしました。本当に私のことも家族の一員のように接してくれていました」
だが、数年後いつもようにコンビニに出勤すると人気商品だけ見事になくなっており、店はもぬけの殻だった。
「最初は強盗が入ったかと思いました。慌てて警察に電話しましたが…夜逃げでした。何度も遊びに行ったオーナーの家にも行きましたが誰もいない。家族だって言ってくれてたんですけどね」
さらに最悪なことに、リアさんがこれまで働いて預けていた給料を全額持ち逃げされていたのだ。
「オーナーに『3年間給料を貯めてコンビニのオーナーになれ。俺が全て段取りしてやる』と言われて、給料を全て預けて、貯めてもらっていました。オーナーからもらったお金は、お正月にみんながインフルエンザで倒れてしまった時に、代打で出勤してお年玉としてもらった1000円だけ。
今となれば私のことは最初から『家族』という言葉を巧みに使って、仲良くしていたら給料を払わないで済むって思っていたのかもしれませんね」
「お前はもう俺たちの家族だ」その言葉を信じきっていたリアさん。コンビニが突然なくなり、掛け持ちしていた飲食店の給料日まではほど遠い。
「ご飯が食べられなくなるかもしれない…」途方に暮れたリアさんは風俗の門を叩く――。
取材・文/吉沢さりぃ 撮影/矢島泰輔