「男でなければ堕ろせ」
リアさんは東京都杉並区で日本人の父親とフィリピン人の母親の元に生まれた。母親が彼女を妊娠したときは夫婦仲が最悪で、すでに姉がいたこともあり、父親は「男でなければ堕ろせ」と宣言していた。
「結局、私が女だったので一家離散。姉は施設に、私は母に引き取られました。ただ母は日常会話程度も日本語が話せなかった。父に捨てられて、(役所に)私の出生届を出すとかそういう手続きをするのは不可能だったんだと思います」
リアさん自身は曖昧な記憶だというが、近所の人の通報もあり、2歳くらいから施設で育ったという。施設に入ってからは運動会などの行事に親が来ることはなく「自分の置かれた状況を何となく察していました」と語る。
リアさんが小学4年生になった頃、離れて暮らす母親の誕生日プレゼント探しで、たまたま行った吉祥寺で芸能事務所にスカウトされたという。
「スカウトされたことは素直に嬉しかったです。あまり自己肯定感が高い方ではなかったので…」
芸能界には施設育ちのタレントはいるが、施設で暮らしながら芸能活動をしていたという人は少ないだろう。彼女は「施設にいることを他言しない」というルールのもと、芸能活動を開始した。
「未成年なのでオーディションも撮影も親の送迎が必須。本来はダメなのですが、特例でマネージャさんが送り迎えしてくれていました。しつこく『施設暮らしのことだけはどんなに仲良くなった子がいても内緒だよ』と言われていました」