「着用」状況は13%…伸び悩むライフジャケットの着用率 

お盆を迎え、帰省先や旅行先で海や川のレジャーを楽しむ人も増えるこの時期。いっぽうで、毎年のように水難事故が報道される時期でもある。警察庁の資料によれば、令和6年の全国の水難事故は1535件、水難者は1753人にのぼり、過去10年間で最多を記録した。

同資料では、水難事故の防止対策として「危険個所の把握」「的確な状況判断」「遊泳時の安全確保」「保護者等の付き添い」とともに、「ライフジャケットの活用」を挙げている。

写真はイメージです(PhotoACより)
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しかし、東京都が今年3月に公表した報告書(『東京都商品等安全対策協議会報告書「水辺のレジャーにおけるライフジャケットの着用と安全な使用」』東京都生活文化スポーツ局)によれば、「水遊び・遊泳中」のライフジャケットの「着用」状況は13%(中学生以上2.5%、子ども21.3%)、「所有」状況については「大人用(中学生以上)」が19.6%、「子ども用(小学生以下)」が37.8%と、いずれも低い割合となっている。

なぜ、事故防止のためにライフジャケットの着用が推奨されているにもかかわらず、普及しないのか。

小学生の子どもを持つ編集部の記者は次のように話した。

「ライフジャケットはとにかくかさばるのが難点。車がないと持ち運びが面倒だと思います。うちは車があるので、子どものためにライフジャケットを買いました。子どもは『浮き輪のほうが楽しい』って言うけど、特に川遊びのときとか、人が少ないビーチで遊ぶときとかは怖いから必ずライフジャケットを着せるようにしていますね」

写真はイメージです(PhotoACより)
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また、40代の母親は次のように話した。

「そもそも『ライフジャケットを持とう』という発想がないです。子どもを連れて行くとしたらプールか海の遊泳OKのエリアだけなので、浮き輪しか持っていないですね」

さらに、ライフジャケットを着用したときの“思わぬ副作用”について次のような声も。ある母親は次のように打ち明けた。

「沖縄でシュノーケリング体験をするときは、いつも業者さんから借りたライフジャケットを着ています。でも、波に揺られながら海中を眺めていると、ちょっと酔ってしまうときがあって…。なので、本当はよくないと思いつつ、たまにライフジャケットを脱いで潜るときもあります。そのほうが自由に動けるし楽なので」

写真はイメージです(PhotoACより)
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いっぽうで、都内に住む父親は「安全のためには必要」という。

「旅行用の荷物がいっぱいになっちゃうけど、子どもの安全のためには必要だと思って、子ども用のライフジャケットだけは買いました。今は安全基準を満たした可愛い柄のものもネットで売っているので、子どもが好きな魚柄のものを買って、子どもも喜んでいます」