子どもの水難死亡事故の約6割が河川や湖沼池

「十分な装備と事前の気象情報、活動の場所の特徴をチェックすれば、河川は自然と触れ合えて、誰もが楽しく遊べる場所です。子どもたちやご家族で楽しく過ごしていただくためにも河川についての知識や水難事故の傾向など知っていただきたいです」と公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員の菅原一成さん。

警察庁の発表によると2022年の1年間の水難事故発生件数は1346件。死者、行方不明者は727人にのぼる。そのうち、河川、湖沼(こしょう)池に限ると284人となり、39.1%を占める。

また、2003年から2022年までの子ども(中学生以下)の場所別の死者・行方不明者数は約6割が河川と湖沼池で亡くなっていて、海で亡くなった子どもの数の2倍以上に。
川はそれだけ子どもにとって身近な場所であるとともに、不慮の事故に遭いやすい場所でもあるといえる。

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「警察庁の資料は、海や水の事故を統計的に公表されています。河川財団では、さらに河川等での水難事故の傾向を特化して把握するために、報道された河川での水難事故データを収集、整理し分析しています。
2003年から2022年における、河川財団が報道記事をベースに収集したデータの約8割は河川です。その他にダム・湖沼、用水路等も収集しています。河川等水難者総数約5306人の約6割が死亡・行方不明になっていて、一般的には軽微な事故は報道されにくい傾向にありますが、ひとたび水難事故が発生するといかに命の危険のリスクが高いかを物語っています」(菅原さん)

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水難事故が起こりやすい河川はどんなところ? 昼食後の14時~15時が要注意タイム…レジャー前に知っておきたい夏の水難事故の傾向とは?_3

また、月別に水難事故の発生件数を調査(2003年~2022年)すると、7~8月の2カ月間の限られた期間に、年間事故件数の約50%が集中して発生している。夏期に事故が多発するのは、夏休みやレジャーなどで河川利用の機会が増えるからで、これからとくに注意しないといけない時期になる。

次いで、5月はGW 等でカヌーなどの川下りの事故、6月と9月はアユ釣りや悪天候による増水などに起因した事故が多く見受けられる。

「水難事故の時間帯についても調査すると、過半数が午後の時間帯に発生しています。なかでも14時~15時をピークとして、13時~17時の4時間に事故が集中しています。理由として暑さや疲労、昼食後の眠気、飲酒などが考えられます」(菅原さん)