発達障害は不登校のリスクにはなる

「発達障害が不登校のリスクになる」という話をすると、「発達障害の子は不登校になりやすいのか」「不登校の子には、発達障害の子が多いのか」といった質問を受けることがありますが、これらの問いに正確に答えるのは難しいです。

私は病院の児童精神科で、不登校の相談を受けています。病院に来られるお子さんは発達障害を疑われている場合が多く、結果として、不登校のお子さんに発達障害の診断をすることはよくあります。

ただ、それは児童精神科での話です。病院に来ないお子さんも含めて調査をしたわけではないので、不登校の子に発達障害の子が多いかどうかは、明らかではありません。この問いに答えるためには、統計をとる必要があるでしょう。

参考情報として一つ紹介しておくと、2017年にノルウェーから出された論文に、自閉スペクトラム症(ASD)の子では「登校拒否行動」が多く見られたという報告があります。これは216人の小・中学生を20日間モニタリングした調査の結果です。

ざっと概要を説明すると、この調査では、子どもが学校に行かないことだけではなく、学校に行きたくないという態度をとることも含めて「登校拒否行動」と定義され、期間中にそのような行動がどれぐらい出現したのかが調べられました。

その結果、定型発達の子では登校拒否行動が7.1%見られたのに対して、ASDの診断がある子では42.6%見られました。調査対象者数の少ないデータではありますが、結果に大きな差が出ています。

ASDの小・中学生の登校拒否行動の出現率  書籍「「グレーゾーン」の子の不登校大全」より
ASDの小・中学生の登校拒否行動の出現率  書籍「「グレーゾーン」の子の不登校大全」より