朝ドラ定番の“ヒロイン三姉妹”誕生のきっかけは…

今作に限らず、“ヒロインが三姉妹”という設定は、歴代作品を振り返ってもかなり多いが、一体なぜここまで定番化したのだろうか。そのきっかけを作ったのが、『マー姉ちゃん』(1979年度前期)の大ヒットだ。

「国民的人気アニメ『サザエさん』の生みの親である漫画家・長谷川町子の姉・毬子(まりこ)をモデルに描いた作品で、ヒロインのマリ子(熊谷真実)はもちろん、姉妹それぞれにもスポットを当て、家族愛や姉妹の絆を描いた“三姉妹もの”最初の大ヒット作でした」

なかでもひと際注目されたのが、ヒロインの妹で次女・マチ子役を演じた女優・田中裕子の存在だ。

「ここで田中裕子さんが一気に注目を浴びたことで、4年後に“伝説の朝ドラ”として知られる『おしん』(1983年度)のヒロインに抜擢されました。そこで平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%というテレビ史上類を見ない金字塔を打ち立て、海外でも人気を博すなど社会現象を巻き起こしたことから、田中裕子さんも国民的女優としての地位を不動のものにしました」

これを機に、ヒロインの姉妹役を演じた女優もヒロイン同様に注目を集めるようになり、のちの朝ドラヒロインや大河ドラマ抜擢などが増え、“ヒロイン三姉妹”が黄金律となっていったという。

ここで、ヒロインの姉妹役として輝きを放った歴代朝ドラ女優BEST3を半澤さんに聞いてみた。

BEST3:『エール』がブレイク作に…三女役演じた森七菜

映画『天気の子』(2019年)の声優や『3年A組―今から皆さんは、人質です―』で頭角を現していた森七菜が、全国的な知名度を獲得したのが『エール』(2020年度前期)で演じた三女役・梅だ。

なかでも注目は第69回。主人公・裕一(窪田正孝)の弟子である五郎(岡部大)の恋心に気付いた梅が、才能の無さに悩む五郎に対し、『大丈夫、五郎さんはダメな人なんかじゃない。ダメなだけの人、好きにならんもん。私、五郎さんのことが好き』と告白するシーンだ。

「全視聴者の息が止まった衝撃展開でした。純粋な梅のまっすぐさとピュアさが最高で、その恋愛模様も丁寧に描かれていました。3人全員の物語がしっかり展開された作品でした」

朝ドラ定番の“ヒロイン三姉妹”設定
朝ドラ定番の“ヒロイン三姉妹”設定