「“誰にも言わない”と約束のもと打ち明けたのに…」

スクールカウンセラーは1995年に全国の小中学校に導入され、現在では全国の9割の公立学校(小・中・高)で配置されている。

子どもの悩みをヒアリングし、教員とは異なる視点から問題解決に向けたアドバイスをしたり、学校生活をサポートする役割を担っており、生徒たちにとっては“成績をつけない”校内にいる身近な大人ということになる。

しかし、そんななか東京都在住のAさんは、スクールカウンセラーへの相談が我が子の「人間不信のきっかけになった」と肩を落とす。

写真はイメージです(PhotoAC)
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「現在、不登校の高校3年生の娘は、中学生のときにスクールカウンセラーに『作り笑いが苦手なんです』と相談したことがあります。“誰にも言わない”と約束のもと打ち明けたのに、数日後、担任から『無理に笑わなくていいよ』と言われ、娘はカウンセラーや大人へ不信感を抱くようになりました。

子どもは親や担任に話しづらいからこそ、カウンセラーに話しているんです。校内で共有する義務があったのかもしれませんが、相談内容の取り扱いには注意してほしい。せめて、『共有すること』『伏せておくこと』を子どもに確認してほしかったです」

スクールカウンセラーに話したことで、さらに傷口を広げたケースもある。現在は社会人の群馬県在住のEさんは、幼少期から父親に激しい暴力を振るわれていた。自分を鼓舞し、なんとかそのことをカウンセラーに相談。だが、一週間も経たないうちにそれが両親に伝わってしまったという。

「あのとき、『なんとか助けてほしい』という思いで相談したのに、父親の耳に入ったことで暴力はエスカレートしました。思い出したくもありません」

写真はイメージです(PhotoAC)
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スクールカウンセラーを利用したことで「学校には絶対に行かない」と気持ちを一層かたくなにしたのは、現在17歳になる埼玉県在住のSさんだ。

「友人関係で揉め事があり不登校になった中学生のときに、ほとんど無理矢理に担任からカウセリングを受けるよう言われ、行ってみたんです。何を話しても『あなたより大変な人がいる。髪の毛抜けちゃう子、話が一言もできなくなる子もいる。あなたは大したことない』と言われ呆然としました。

自分の気持ちは、結局誰も分かってくれないんだと落ち込んだだけ。それなのに、学校へ行けばカウンセラーの手柄になる。それが嫌で、以降中学には登校していません」

そもそも、「スクールカウンセラーの利用方法がわからない。相談をLINEやweb上で受けつけてくれたら良いのに」と利用までのわかりづらさを指摘する中学生もいた。