そもそもスクールカウンセラーは必要なのか?

そもそもスクールカウンセラーは必要なのか。碓井氏は力強く「必要です」と述べる。

「多様性の時代に突入し、家庭環境が複雑であったり、いじめや不登校の背景には発達障害などの特性が隠れていることも少なくありません。先生には直接は言いづらいこと、逆に先生が保護者や子どもに直接は指摘しづらいことも増えています。

“みんなの母”的存在として、子どもたち(保護者含む)と学校側の架け橋になれるのはスクールカウンセラーだからできることです。

ちょっとした雑談や心配事、時には夫婦間の相談も気軽に話してもらい、子どもたちの元気の源である家庭が笑顔に溢れるよう、親を支えるのも我々の役目です」

写真はイメージです(PhotoAC)
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碓井氏が言うように、実際、スクールカウンセラーに救われた人が多いのも事実だ。東京都在住のTさんは、息子さんが小学2年生の頃、入級先の変更時にスクールカウンセラーにお世話になったという。

「息子は気持ちを表に出すことが苦手で、聴覚過敏の特性もあるため入学当時から特別支援学級(以下、支援級)を考えました。しかし、区内で支援級を設置している小学校は当時3割弱。学区内の小学校に支援級はなく、悩んだ末、2歳上の長女と同じ通常学級に通わせることにしました。

しかし、ある日、帰りの会の時間に転んで怪我をし、誰にも伝えられずに泣きながら帰宅したことがありました。このままではまずいと感じ、区の就学相談に行ったものの希望に反した学校を勧められ落胆。校内のスクールカウンセラーに相談してみることにしました。

当時、都採用、区採用のカウンセラーが常時2名おり、評判の良かった都採用のカウンセラーにお願いしました。就学相談の内容を伝えると、他の事例をいくつか教えていただき、息子の授業の様子も何度か見に行ってくださり、気になることをフィードバックしてくれました。

親身に相談に乗っていただいたおかげで、小学3年時に息子は希望した支援級に転学。楽しく登校し、卒業まで無事に通うことができたので本当に感謝しています」

写真はイメージです(PhotoAC)
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神奈川県在住の高校3年生のKさんも、スクールカウンセラーに感謝する一人だ。真面目で考えすぎてしまう当時中学生だったKさんに「もっといい加減に生きて大丈夫なんだよ」という言葉をかけてくれたことで、肩の力が抜けた。今もたびたびこの言葉を思い出すという。

多様化の時代でその必要性は高まるスクールカウンセラー。真の“子どもの味方”として、どうあるべきなのか。考え直すときなのかもしれない。

取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班