芸人の墓場SMAに入所した理由

—なぜ別々のところにいたお二人が出会い、SMAに入られたのか。

麻婆 僕が前に組んでた相方が、トシダさんの前のコンビと知り合いだったんですよ。それで知り合って、同じくらいに解散して。で、やってみようかでやることになるんですね。

—やはりビビッときたんですか。

麻婆 ふふん(笑)。

トシダ こいつと組む前に後輩とも組んで先輩とも組んでたんですけど、麻婆とは同い年だし僕はただ単純に気を使わず意見を言えるからこいつになったみたいな感じですね。

麻婆 なんか恥ずかしがってますけどビビッときたんだと思いますよ。すいません。

トシダ ビビッとはしばらく来なかったですけどね。

麻婆 すいません、恥ずかしがってて。まあ僕から誘ったので、ツッコミちゃんとできる人がよかったんで。トシダさん(当時は)ボケだったんですよ。でも元ボケの人というかボケもできる人のほうがツッコミが面白い気もするんですよね。で、やっぱ……ビビッときて。

—麻婆さんはビビッときたんですね。

麻婆 はい(照)。

—当時は「芸人の墓場」とも言われていたSMAに20代にして入ったのはどういうきっかけだったんですか。

トシダ オフィス北野とか、浅井企画とか、ホリプロコムとかいろいろ事務所を回ってたんですけど、やっぱ入れるまでに何か月かかかるんですよね。オーディションライブとか、ネタ見せとか経て。

麻婆 なんかもう面倒くさくなっちゃって。

トシダ その点、SMAは連絡したら入れるという噂通り、本当に入れたんですよね。

—それって都市伝説ではなく、本当なんですか?

麻婆 本当ですよ。みなさんも入れます。

トシダ でも先輩方には止められましたよ。「まだ早い」と。お前らが来るには早い。ほんと終わったおじさんが入るところだからと。

麻婆 そこがねちょっと……最大のミス、いやわかりませんけど……今ちょっと隣でマネージャーさんが聞いてるんでね……いやマジでありがたい、ありがたいです。

トシダ SMAは墓場のイメージだからね。僕らたまたま今こうですけど、他に200、300人、なんもない芸人が山ほどいますから。行くとこなくなっちゃった人が最悪入れるっていうところに僕ら入ったんで。

麻婆 当時は錦鯉さんもまだM-1優勝してないし、や団さんもKOC決勝行く前なんで本当に今より地下な感じでした。

かつては顔面を白や緑で塗った奇抜な漫才でM-1に出場していたという麻婆
かつては顔面を白や緑で塗った奇抜な漫才でM-1に出場していたという麻婆
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—オーディションに通えず、サクッと入れる事務所に入って今がある(笑)。

トシダ 地道な努力がやっぱりムズくて。

麻婆 歯医者とかもね、やっぱり通えない。

トシダ わかるなぁ。歯医者とか病院とか。毎月行かなきゃいけないのがキツイ。

麻婆 毎月行かなきゃいけないの嫌だよね。事務所によってはライブの手伝いとかも行かなきゃいけないとかあるんですよ。そういうのがたぶん嫌だったんだと思います。

#2へつづく

取材・文/西澤千央 撮影/高木陽春