写真左から、吉田悠軌氏、廣田龍平氏。
写真左から、吉田悠軌氏、廣田龍平氏。
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「学校の怪談」メディア化の加速

廣田龍平(以下、廣田) 雑誌よりも記録に残りづらい、ラジオやテレビへの視聴者の投稿もありますよね。そこから広まった学校の怪談も多かったのでは。

吉田悠軌(以下、吉田) 小学生より年齢層は上がりますが、60年代から90年代にかけての「深夜ラジオ」という文化は、絶対にものすごい影響力があったはずですね。ただそれがアーカイブとしてほとんど残っておらず、我々が参照できない。それこそもう口承採集のように、当時、ラジオ番組を聴いていた人たちに取材して、その言い伝えを拾っていくしかない。

廣田 なんとなくわかっているものとしては、稲川淳二さんが『オールナイトニッポン』で話した「赤い半纏はんてん ) 」。1977~78年頃にこの怪談が一気に女子大生の間で広まったということが、中村希明『怪談の心理学』という本に書かれていました。トイレに入った時、「赤い半纏着せましょか」といった声が聞こえてくる。その対応に失敗すると血まみれになって、赤い半纏を着たようになるという怪談。この話自体はかなり昔からあったんですけど、ラジオを通して全国に広まったとは言えますね。

吉田 稲川淳二さんの「赤い半纏」は、年配の女性から来た投稿なんですよね。番組が放送された70年代後半よりずっと昔、投稿者が女学生時代に聞いたという話。その女性は実話として投稿していますが、当時から全国的に流行っていた都市伝説、学校の怪談の一バージョンですよね。「赤いちゃんちゃんこ」のほうがタイトルとしてメジャーなんですが、稲川さんは「ちゃんちゃんこ」じゃなくて「半纏」なんだと主張している。番組でお手紙を読んだことへの責任感からだと思うんですけど。