「大人は何かを隠している」という世界観
吉田悠軌(以下、吉田) 「学校の怪談」というのは90年代からの言い方で、80年代以前は「学園七不思議」といった言葉をよく使っていました。お二人も文庫版の解説でそう呼んでいます。子どもたちはどんどん新陳代謝して6年で学校を卒業していくけれど、学校自体は50年や100年以上残っているところも珍しくない。七不思議というのは、その縦軸の歴史で残されているものなんですよね。学校という同じ空間で同じ話が継承されていく、それが七不思議。
真倉翔(以下、真倉) そうですね。子どもたちはどんどん入れ替わっていくけど、同じ怪談を知っている。
吉田 各世代の子どもたちは新入りの立場でそれを初めて知っていく。ただその中で、教師たち大人は既に知っていますよね。特に校長先生になると、ずっとその歴史を把握している。
『ぬ~べ~』では、ぬ~べ~や校長先生などはこの学校にどんな怪談があるか知っている。子どもたち視点で見たら、どうやら大人は何か知っているようだけど、自分たちに隠しているんじゃないかという怖さに繋がる。そういった怖さや不安については、当時の「学校の怪談」コンテンツの中でも、『ぬ~べ~』が一番ビビッドに描いているなと思います。