進次郎は期間限定の「選挙の顔」か

しかし、この一事は石破総理が「小泉大臣が実行したい農政改革に対して何ら協力的ではないこと」を示唆している。法律論としては上記の考え方で問題ないが、現実には自民党農林部会が農水省の箸の上げ下げまで握っている現実は実際に存在している。

前述の通り、参院選前であるために同部会からの声は目立っていないが、選挙後には小泉大臣が何をやるにもほぼ全ての行動に同部会の邪魔が入ることは明らかだ。

農政改革とは自民党にとっては党内革命に等しい内容であり、農林水産大臣の顔一人を替えたからといって実現できる甘いものではない。石破総理が本気で小泉大臣を動かそうと思うなら、自民党側の党人事を農政改革に理解がある形に替えることが必要だ。

石破総理はコメの安定供給に関する閣僚会議を立ち上げているが、これは茶番が極まっており、本気で農政改革をやるためには自民党内の人事に手をつけなくてはならない。

石破自民による「進次郎潰し」が参院選後に本格化も…あまりに茶番! 5月31日に発生した、小泉大臣の党内での孤立ぶりを示す象徴的な事件 _2

石破総理の動きを見ていると、ひょっとしたら次の首相ランキング上位にある小泉進次郎氏の息の根をここで止めるつもりなのでは、とも思えてくる。

小泉大臣を選挙の顔として期間限定で利用しつつ、選挙後は党内の農林族によってがんじがらめの状態に追い込み、実際には何も農政改革を出来なかった無能(しかも、党内で禁忌である農政に触れた)として政治生命を実質的に終わらせることを狙っているようにも見えるのだ。

そうだとしたら、石破総理の罪は本当に重いものだ。小泉「コメ劇場」という茶番で支持率を回復して、自らの政権を延命しながら、本当に必要な改革には何も手をつけない。これは国民に対する裏切りそのものだ。

また、筆者は「小泉氏は今回の農林水産大臣就任を受けるべきではなかった」と考える。同氏は自民党農林部会長時代に、日本の農政に関する闇とその力を痛いほど知ったはずだ。

それにもかかわらず、十分な政治的な支援が得られない状態で、農林水産大臣のポストを引き受けたことは、己の政治的な立身出世に目が眩んだのではないか。大臣ポストに釣られて、政治的に出来もしない農政改革に着手した見識の無さは極めて問題だ。