自ら電話をかけて支持をお願い
岸田文雄首相が総裁選不出馬を表明したお盆明け、続々と発表された各社の世論調査に永田町はざわついた。「次の総理」ランキングでこれまで石破氏の次点につけていた進次郎氏が、石破氏と互角となり、一部では上回るようになったからだ。
「とくに、自民支持層では、日経新聞・テレビ東京の合同調査と共同通信の調査で、進次郎氏が石破氏を数ポイント上回りました。総裁選は国民全体ではなく、党員や議員による投票で結果が決まりますから、自民支持層でのリードは進次郎氏にとって好材料です」(全国紙政治部記者)
進次郎氏はすでに、菅義偉元首相やその周辺のほか、安倍派、岸田派、二階派などの中堅・若手議員からの支持を集めているが、さらなる支持拡大に余念がない。
「進次郎氏は自ら電話をかけて支持をお願いし、さらに議員票を伸ばそうとしています。別の候補につきかけていた議員が、世論調査を見て『勝ち馬』に乗ろうと、進次郎氏に乗り換えるといった動きもあるようです」(同)
この動きに危機感を抱いているのが、総裁選とほぼ同時期に代表選をする立憲民主党だ。立憲は4月の衆院3補選で全勝して勢いに乗ったものの、7月の東京都知事選で蓮舫氏が惨敗。
ここにきて朝日新聞の世論調査で、今後の政権のあり方についての回答のうち「自民党を中心とした政権」が前回の38%から42%に増える一方、「自民党以外の政党による政権」が48%から43%に減るなど立憲への追い風が止まった。一時は盛り上がっていた政権交代ムードが急速にしぼんでいる。
立憲議員は「国民人気の高い進次郎総理と戦えるという観点で立憲の顔を選ばないといけない。若いが軽いイメージもある進次郎氏に対して、こちらは重厚感や安定感で勝負しようと野田佳彦氏に傾く流れもできつつあるが、野田氏が維新に接近していることに対して、とくに関西選出の議員は怒り心頭。
野田体制になったら、党がバラバラになってしまうのでは。かといって、枝野幸男前代表では新鮮味がなく党勢は回復しないだろうし、若手の吉田晴美氏も経験がなさすぎるし……」と頭を抱える。