「悔しくて、怖くて、でも何も言い返せなかった」 

コンビニで働くミャンマー出身の男性(29歳)はある日、帰宅ラッシュで混み合う時間帯に激しい罵声を浴びせられたという。

「60代くらいの女性客でした。レジが混んでいて、私が順番を間違えてしまったんです。するとその女性が突然怒鳴り始めて、『本当にありえない! 本社にクレーム入れるから!』と。私はすぐに謝ったのですが、さらに『外国人ばっかりで本当に使えない!』とまで言われました。悔しくて、怖くて、でも何も言い返せなかった」(コンビニ店員・ミャンマー出身)

ピークの時間はいつも行列ができるというコンビニ(撮影/集英社オンライン)
ピークの時間はいつも行列ができるというコンビニ(撮影/集英社オンライン)

中国出身の女性(25歳)は昼のピークタイムでレジを担当していたときに起こった出来事を振り返った。客から渡された公共料金の支払い用紙がコンビニ支払い非対応だったため、丁寧に説明したところ、信じがたい反応が返ってきたという。

「相手は70代くらいの男性客。『日本語わかってる?』『外国人のくせにレジに立つなよ』って。ちゃんと説明してるのに、『何言ってるかわかんねぇよ!』って他のお客さんの前なのに大声で…。周りも気まずそうにしていて、私が悪いことをしたみたいな空気になってしまって、すごくつらかった」(コンビニ店員・中国出身)

彼女は泣きそうになりながらも、ただ「すみません」と謝るしかなかったという。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
写真はイメージです(写真/Shutterstock)

ベトナム出身の女性(29歳)が最も辛かったのは、夜勤中のある出来事だったという。50代くらいの男性客が、おでんが販売終了していたことに腹を立て、怒鳴り声を上げたのだ。

「『ふざけんな! なんでやってないんだよ!』って。『おまえ、日本語わかってんのか?』『外人が日本の店で働くな』とまで言われました。手が震えて、怖くて、ただ『すみません』と繰り返すしかなくて……。あとで先輩から、あの人は外国人にだけああいうこと言う常連だって聞きました」(コンビニ店員・ベトナム出身)

自宅に戻った彼女は、自分の存在を否定されたような気持ちになり、泣いてしまったという。

コンビニのおでん(PhotoACより)
コンビニのおでん(PhotoACより)

駅付近のコンビニ店に勤める日本人パート女性も話す。

「コンビニの仕事って本当に業務もいろいろあって大変だけど、みな一生懸命真面目にやっているんですよ。一部の迷惑外国人のニュースや外国人犯罪の報道も多いから、不信感をもってしまうのかもしれませんが、ウチにいる留学生の子はとてもいい子で、こっちにくるのに借金したり、それなりの覚悟をもって日本にきている。無駄づかいもまったくしない。

本当にここ最近、イライラしているお客さんが多い、特に高齢者やバブル世代のおじさん。ウチのミャンマー人のスタッフに小銭を放り投げたり、ワザと日本語で早口で話して困らせたり…見ていて恥ずかしいです」

少子高齢化が進む中、外国人労働者は不可欠な存在だが、差別的言動が続けば労働環境は悪化する。

決して裕福な国とはいえなくなってきた日本だが、心まで貧しくなってしまったのか……。

外国人店員が働くコンビニ(撮影/集英社オンライン)
外国人店員が働くコンビニ(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班