清野とおるは几帳面で、締切も必ず守る人
──清野さんの漫画を『UOMO』ウェブサイトで連載することになった経緯から教えてください。
もともと僕は入社以来ファッション誌でキャリアを積んできたので、漫画の編集をしたことがありませんでした。
とはいえ僕も含め編集部に漫画好きが多かったので、新しい試みとして『UOMO』のウェブサイトで「漫画の連載をやってみたらおもしろいかも」ということになったんです。
でも、だからといって『週刊少年ジャンプ』で連載中の先生に声をかけるわけにはいかないし、僕らに漫画家さんのコネクションがあるわけでもない。ただ、清野さんとは昔一度だけ知り合いのライターさんを通じて飲んだことがあって作品も好きだったので、ダメもとでメールをしてみました。
すると翌日すぐに返信が来て、「ぜひやりたいです」と言っていただきました。ちょうど大きな連載が終了した時期だったらしく、本当にタイミングがよかったみたいで。最初の打ち合わせのときに清野さんから“予備の街を探す”という構想を聞かせていただき、サクッとテーマも決まりました。
一緒にお仕事をしてみて知ったのですが、清野さんってものすごく几帳面で、締切も必ず守る人なんです。むしろ前倒しでバンバン送ってくる。LINEを送ったらすぐに返事が来るくらい、すごく仕事ができる人です。
──連載を進める中で、編集部からの要望は?
ほとんどなかったですね。そもそも漫画に関しては完全に素人ですし(笑)。ただ、ファッション誌だからといってファッションに関する漫画をやってもあまりおもしろくない、ということだけはわかっていました。
街のセレクトは清野さんが提案してくださるのですが、取材が終わっても延泊して滞在先のホテルで抱えている仕事をされるなど、実際に住むことに近い過ごし方をされています。
──取り上げる街のセレクトも、清野さんの漫画にしては意外性がありますね。
どうしても赤羽の印象が強いから、エキセントリックな人がいそうなディープな街が好きだろうと思われがちですが、必ずしもそうではなくて。若い頃さんざん描かれてきたからかもしれません。
連載の第一回に多摩センター(東京都多摩市)を取り上げたことで、“予備の街を探す”という、この作品でやりたいことがしっかり示せたと思います。