「既存商品のパッケージをそのまま使用」「できる限り早期にお客様にお届けしたい」 

そもそも、「コメ騒動」の中で店頭に並び始めた備蓄米の商品名には、どんな背景があるのだろうか? 取材班は各小売店に取材を試みた。

「和の輝き」を販売するアイリスオーヤマの担当者は次のように話した。

ネット通販で販売される「和の輝き」(アイリスオーヤマの公式通販サイトより引用)
ネット通販で販売される「和の輝き」(アイリスオーヤマの公式通販サイトより引用)

「『和の輝き』自体は備蓄米用に新しく付けた名前ではなく、2015年に販売を開始した国産10割のブレンド米の商品で、今回はそのパッケージを使用しました。商品名の由来としては、国産ブレンド米というところが『和』、おいしさを『輝き』として表現しています。

随意契約に関する説明会に当社も参加させていただきましたが、参加社から『パッケージを作るのに数ヶ月かかってしまうのがネック』という声が聞かれました。6月上旬に販売したいという政府の意向もございましたので、まずはスピードを重視したという経緯があります。

既存のパッケージを使ってはいますが、混同しないように、今回の備蓄米に関しては『政府備蓄米』と書かれたシールを貼っています」

このように、10年前にすでに販売を開始していた商品のパッケージをそのまま使用したという、意外な経緯を明かしてくれた。

備蓄米の放出後、比較的早い段階から店頭に並んでいた「わが家のお米 楽しい食卓」を販売する木徳神糧の担当者にも話を聞くと、30年前にはすでに販売が開始されていたと話した。

「こちらの商品は今から30年前に、手に取りやすい価格帯のブレンド米商品として、『日々の食卓に笑顔があふれるように』という思いを込めて開発されました。備蓄米を少しでも早く消費者の方にお届けしようという中で、新たにコメ袋を準備するとなると、納品までにかなり時間がかかってしまうため、既存の(デザイン)データを使わせていただきました」

「わが家のお米 楽しい食卓」(木徳神糧が運営する通販サイト「KOMETS」より引用)
「わが家のお米 楽しい食卓」(木徳神糧が運営する通販サイト「KOMETS」より引用)

6月1日に備蓄米の販売を始めたイオンは「国産備蓄米」というシンプルなパッケージを採用した。イオンの場合も、やはり「早く商品を届ける」ことを最優先したという。担当者は次のように話した。

「できる限り早期にお客様にお届けするために、あのような形で販売していますが、今後パッケージを新たにして販売する可能性もあります。ですがまずは、できる限り早期にお客様にお届けするという形で対応しております。お困りごとがあるのを解決していくというのがとても大事だと考えています」

イオンの売り場を視察する小泉農水相(本人公式Xより)
イオンの売り場を視察する小泉農水相(本人公式Xより)
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 取材を通して見えてきたのは、ブレンド米は意外にも以前から商品として存在していたという事実と、各小売業者の「消費者に一刻も早くコメを届けたい」という思いだった。こうした努力が実を結び、一日も早くコメの安定供給が実現する日が来ることを願うばかりだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班