中小のスーパーにとって卸売は都合のいい存在 

JA福井県五連の宮田幸一会長は5月27日の記者会見で、備蓄米の放出によって米価が下がると農家の生産意欲が減退すると危機感を表明した。

しかし、卸売業者を通さないシンプルな流通経路を確立し、中間マージンをカットすることは農家の収入という側面において影響は少ないはずだ。懸念されるのは、本当に卸売業者を介さないことで、人への負担を含めた流通コストを下げることができるのかということだ。

小売店にとって、卸売業は便利な存在だ。価格交渉、受発注、物流などの面倒な業務を一手に引き受けてくれるからだ。特に中小のスーパーにおいては、卸売業者を通さずに取引すると担当者の負担が大きくなる可能性が高い。そして、卸売業者は納期の無理な依頼にも対応してくれるなど、スーパーにとって都合がいいというのも事実だろう。

とはいえ、米価高騰は流通の透明化、効率化を進める一番の契機となったはずだ。改革に着手する絶好の機会である。流通の透明性を図ったうえで業界再編を促すことができれば、中間コストを削減することはできるのではないか。

今こそ小売業者への負担を軽減し、消費者への恩恵を大きくする道を模索すべきだ。

取材・文/不破聡

スーパーのコメ売り場を視察する小泉大臣(写真/本人SNSより)
スーパーのコメ売り場を視察する小泉大臣(写真/本人SNSより)
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