「被告人両名は中国でも日本でも医師免許は得ていない」

検察側の冒頭陳述では、姉弟の身上や経歴も明らかにされた。

旭娟被告は中華人民共和国生まれ。現地の看護学校を卒業後、中国国内の美容クリニックで看護師としてアートメイクなどの医療行為に携わる。2008年日本人と結婚して来日し、美容系の専門学校に通う。2014年に香港で弟の家宏被告と会社を設立しエステ業の経営を開始。犯行時は現在の夫と住む家とこのタワマンの部屋を行き来する生活をしていた。

家宏被告も中国生まれで高校卒業後は美容外科医を目指すも美容訓練学校を中退。2016年に日本で働いている前妻と同居するために来日。犯行時は、日本での就労資格を持つ中国人の妻の家族という身分で外国人登録し、妻と子供と居住していた。

犯行の経緯として検察側はこう述べた。

「被告人両名は中国でも日本でも医師免許は得ていない。2022年ごろから韓旭娟は客に二重まぶたの切開や糸リフトなど医師でなければ危険を伴う行為をするようになり、公訴事実の犯行を行なった。

2023年ごろから韓家宏は姉である韓旭娟に誘われて姉が経営する美容クリニックで客に麻酔を注射したり、二重瞼の縫合手術を行うようになり公訴事実の犯行を行なった。弟は姉の施術を見て学んでいる。

2人は客から施術の相談を受けると自分たちのできる施術であれば引き受け、客から施術料金を受け取った。施術料金について韓旭娟はすべて自分の報酬とし、韓家宏は受け取った施術料金からかかった器具などの費用を差し引き半分を姉に渡していた」

現場となったタワーマンション(撮影/集英社オンライン)
現場となったタワーマンション(撮影/集英社オンライン)
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検察側は初公判で、被害者が複数いるため訴因変更の可能性についても示唆した。当時取材した記者が解説する。

「韓被告らは中国語でSNSに広告を出すなどして顧客を集めていたとみられる。1日最大5人ほどが来店しており多くが中国人客だった。被害女性らは1回の施術で25~55万円ほどを払ったもの、施術後、まぶたや頬が化膿したことを訴え、警視庁に相談していた」

次回の公判は8月22日予定で、結審の見込みだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班