本人からは「1人で寝たい」と要望があって
家出や同級生とのトラブルの原因になっただろう「不満」の中身もはっきりとしなかったようだ。
「自分も仕事があるので見れてない、把握できてない部分が多いというのが本当に……。本人からは『1人で寝たい』と要望があって、そういった部分はある程度改善したんですが……。最初は家族みんなで寝てたので」
息子が内在していた犯罪の兆候については、どう向き合っていたのか。前日までの取材には「何か起こすんじゃないかと思っていた」とも話していた父親は、こう言葉を繋げた。
「兆候というよりもそれを抑止したいという部分で。正式には千葉県警の少年センター、犯罪とか非行関係の専門家の方を勧められて、そこで話をして改善するきっかけにしてたのが現状ですね。兆候というか、犯罪行為や家出とかそういった部分を未然に防ぐというか」
そして父親は、最後にこう言い残した。
「これだともう普通にコメントを続けることになるんで、もう申し訳ないです」
被害女性と同年代の区内在住の85歳の女性は、不安そうにこう語った。
「事件があった場所は私が毎日のように歩いて通る道だったので、犯人が『誰でも良かった』と言っていたことに『私も襲われてたかもしれない』と恐怖を感じました。今までは大きな事件などもなく平和な住宅街という印象だったのですが、今回の件で若い人と目を合わせるのが怖くなり、明るい時間でも外を出歩くのが怖くなりました」
地域性を含めて特殊な事情を反映するようなものは何もない。日本中どこにでもありそうな普通の住宅街の、普通の家庭。それでも少年が「少年院に逃げ込みたい」と高齢女性を背後から刃物で突き刺す事件をどう「防ぐ」のか。ひとりこの男子生徒の父親だけが抱える問題ではないことを思い知らされる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班