「アサヒの携帯から『疲れただけだから』ってLINEが入ってきた」
彩咲陽さんの失踪とともに、しつこいほど周辺をうろついていたAも姿を見せなくなったが、母親と暮らす自宅を根城に偽装工作に腐心していた形跡があるという。
「そもそもアサヒがいなくなってからすぐにAの携帯にもじゃんじゃん電話したけど全く反応しなかったんで、アサヒの携帯に『このまま連絡取れないと警察に捜索願出すよ』ってわざとLINEしたんですよ。
ぜったいAはアサヒの携帯を取り上げていて、それを見ると思ったから。案の定、12月22日にAからこっちに電話がかかってきて『アサヒから僕に電話がかかってきて、ウチに居場所がないって言ってました』とか言うんですよ。
そしてすぐに、アサヒの携帯から『疲れただけだから』ってLINEが入ってきた。この経緯は、翌日に来た女性刑事にもちゃんと伝えましたが、これもまったく相手にされなかった」
〈慎重な姿勢〉を貫く県警に対し、家族は執念で「独自捜査」を続け、ついにAと母親の「逃亡計画」の証拠をつかんだ。それが写真にあるメッセージのやり取りだ。
「アサヒのお父さんは探偵に頼んだり、自分でAの自宅周辺を張り込んだりしていて、3月ごろにAを見つけてスマホを取り上げたんですよ。そこにAと(彼の)母親とのメッセージのやり取りがあったんで、それを保存したのがこれです。
アメリカに逃亡するとかなんとか書いてあるでしょう。アサヒの父親はこれも警察に持っていって『アメリカに逃げると言っている。逃さないでください』と必死に食い下がったんですよ」
しかし、またしても県警は〈慎重に〉これをスルー。いつの間にはAは粗いザルの目からこぼれるように川崎市内からいなくなっていた。その後、捜査が進んだ鍵は、意外にも例の自転車だった(♯3参照)。
「Aに持って来させたものの、また盗まれてなくなったアサヒの自転車の盗難届をアサヒの祖母が出してたんですよ。その後、4月10日ぐらいにAの家の近くで見つかって、お父さんが呼ばれて。自転車のカゴの中にアサヒが失踪した直前に使ってた財布とその中に自転車の鍵が入ってた。
お父さんがさすがにこれはおかしいから、Aの指紋があるかどうか採取してくれと(警察に)頼んだんです。それで『指紋は出た』ときいています。この日を境にAとは連絡が取れなくなりました。すでに出国しているという情報もあります」
4月30日、ようやく県警はストーカー規制法違反の疑いで家宅捜索に入り、ボストンバッグに入った遺体を床下収納から発見した。
はたして「A」は本当にアメリカに逃亡したのか、そしてAの自宅から見つかった遺体は誰なのか…。〈慎重な捜査〉で定評のある神奈川県警は遺体の身元もなかなか発表しない。捜査の底力が、問われている。
※「集英社オンライン」では、今回の記事についてのご情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(旧Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班