外国人観光客に注意をしても反論をされて

特に困っているのは“食べ歩き”だという。市場内では串料理など、食べ歩きに適した商品が多く売られているが、錦市場では歩きながら食べる行為は禁止されている。アーケード内では放送による注意喚起が流れ、張り紙も掲示されているが、それでも食べ歩きをする人は後を絶たないという。

「その場で立ち止まって食べてくれるならまだいいんですけどね。見かけたら注意はしますよ。『日本人はそういうことしません』って。でもそう言うと、『あの日本人はやってるじゃないか』って言われるんです。だから『あれは“バッド・ジャパニーズ”だから』って返したり。

関東でも鎌倉や築地など、他の観光地でも同じようなことが起きてるって聞きますけど、外国の方の真似をしてるのか、日本人までマナーが悪くなってきている気がします。私はここで生まれ育ったので、今の錦市場の状況は正直、いいとは思えません。

でも、外国からのお客さんがこんなに増えた以上、どうしても仕方ない部分もありますよね。人が来れば、当然お金目当ての店も出てくる。そこも、しょうがない。でも、これが今後どこまで進むのか、不安はありますね」

食べ歩きを注意する張り紙がいたるところに
食べ歩きを注意する張り紙がいたるところに

錦市場が現在のような状況に変化し始めたのは、コロナ禍の少し前くらいからだというが、コロナが明けると、市場の治安は一気に崩れてしまったと語る。

「コロナ禍前、特に2019年ごろから中国からの観光の方が一気に増えはじめて、その頃から少しずつ今のような雰囲気になってきていました。でも、コロナ後に人が戻ってきてからは、さらに拍車がかかりましたね。

マナーについて言うと、コロナ前に来ていた外国の方は、まだ比較的配慮をしてくれる人が多い印象で、ここまでひどくはなかったんです。でも今はちょっと、恐ろしく行儀の悪い方が多い。

やっぱり、国によってマナーの感覚は違いますね。最初は『中国人がひどい』ってよく言われてましたけど、あまりにも言われすぎたんで改めはったのか、最近は中国の方のほうがむしろマナーがよくなった気がします」