東京・墨田区で「赤ちゃんポスト」設置
東京都墨田区の社会福祉法人「賛育会」は、区内にある「賛育会病院」内に「赤ちゃんポスト」を設置し、2025年3月31日から運用を開始した。
「赤ちゃんポスト」とは、親が育てられない子どもを匿名で預かる場所。賛育会の通称「ベビーバスケット」では、24時間出入りが可能な入院棟の1階に専用の部屋を設け、赤ちゃん用のベッドも設置。
対象は生後4週間以内の新生児で、病院は赤ちゃんを保護した後、一定期間預かったのち、児童相談所が中心となって乳児院や里親につなぐ流れとなっている。
さらに「賛育会」では、予期せぬ妊娠などで子どもを育てることが難しい女性が、医療機関以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」の事業も同時に開始。「赤ちゃんポスト」と「内密出産」の同時運用は、2007年に熊本市の慈恵病院が開始したのにつづき、全国で2例目となる。設置した賛育会病院の賀藤均院長はその意図を話す。
「赤ちゃんの遺棄や虐待死など痛ましい事件が後を絶ちません。こうした事態を回避するための緊急、かつ最終的な手段として、また行政機関や民間の関係団体と連携して、ゆくゆくはこのプロジェクトを必要としない社会を目指し、職員一同取り組んでいきたい」
全国で2例目となった「赤ちゃんポスト」だが、熊本の慈恵病院とは異なり、大都市・東京で運用することへのメリットや課題について、近畿大学総合社会学部の齋藤曉子准教授に話を聞いた。