「休み時間にアダルト動画を見る生徒もいて……」
神奈川県の公立小学校に勤務するBさん(30代・女性教諭)も、デジタル教科書の課題について次のように指摘する。
「授業に集中できず、自分の好きなことをタブレットで検索してしまう子がいるため、学力に差が出やすくなると思います。自律して学習できる子はどんどん伸びる一方で、我慢して取り組めない子は、授業についていけなくなります。
それに、デジタル教科書では『教科書への書き込みが難しくなるのでは?』という点も気になりました。何でもタイピングで済むようになると、漢字をなかなか覚えられなくなる可能性もありますよね。あと、成長期の子どもたちが長時間画面を見ることになるため、視力への影響も心配です」(Bさん)
実際Bさんの勤務校では、デジタル教科書を導入して以降、保護者から子どもの視力低下やタブレット依存を心配する声が、学校に数多く寄せられているという。
続いて、東京都の私立中学校に勤務するCさん(20代・女性教諭)は、タブレット端末の導入によって生じたトラブルについてこう語る。
「現場でタブレット端末が導入されてから、連絡手段としてチャット機能を使うようになりました。たとえば、委員会ごとにグループチャットを作り、持ち物の連絡や活動内容の共有などに活用しています。便利な面もありますが、その一方で、生徒同士が授業中にチャットで雑談を始めたり、やりとりが原因でケンカに発展したりと、トラブルも後を絶ちません。
さらに中には、アクセス制限を解除して授業中にゲームをしたり、休み時間にアダルト画像や動画を閲覧したりする生徒もいました。アクセス制限の解除方法は、ネットで簡単に見つけられてしまうのが現状です。こうした事態を受けて、校内でのタブレット利用ルールについては、職員会議でもたびたび議題に上がっています」(Cさん)