「人形アイデア勝負の巻」(ジャンプ・コミックス58巻収録)
今回は、不況にあえぐ玩具工場が、両さんのアイデア新製品で経営を立て直すお話をお届けする。
1987年に描かれた本作において、両さんは人形=女児とマニア向けという世間の常識にとらわれず、極道や戦国武将といったニッチすぎるジャンルの高額フィギュアを提案する。
経済力のある成人男性のハートと財布を狙う戦略は、既存市場の拡大と未開拓分野の開発を同時に、しかも見事に果たしている。両さんが実に卓越したベンチャー的なセンスの持ち主だということが理解できるだろう。
ベンチャービジネスは1970年代から何度かブームが訪れているが、本作が描かれた1980年代は、日本においては第2次ベンチャーブームが巻き起こっていた。
その中心は、ざっくりというとハイテク系。当時、日本の家電や半導体、自動車や工業製品は世界中でもてはやされており、その市場をめざして数多くのベンチャー企業が登場していた。
そんなさなかに、オタク的ビジネスの顧客の高齢化、年齢層の拡大に着目した両さんは、やはり一流の勝負師だといえよう。
それでは次のページから、両さんが玩具工場を救うべく斬新なアイデアで大勝負を仕掛けるお話をお楽しみください!!