教員の業務も増加「生徒全員分のアカウント登録が必要で……」 

Cさんはまた、デジタル教科書の導入に伴う“教諭の負担”についても次のように指摘する。

「私の勤務校では、デジタル教科書を使うにあたって、担当教員が生徒全員分のアカウントを登録しなければなりません。その作業だけで、かなりの時間を取られました。今後さらに導入が進めば、教員への負担はますます大きくなっていくと思います」(Cさん)

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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一方で、デジタル教科書の導入はデメリットばかりではない。前出のBさんは、デジタル教科書が有益だと感じる場面について、次のように語る。

「視覚的に児童へ訴えかけられるので、耳からの情報をうまくキャッチできない子どもにとっては、学びを深める手助けになると思いますね。たとえば、算数で図形を説明する際などに、とても役立っています」

平面ではわかりづらい問題の解説や、英語のリスニングなどにも効果的といわれているデジタル教科書。しかし近年、スウェーデンやフィンランドといった「ICT教育先進国」では、デジタル教科書の積極導入によって子どもの学力低下や心身の不調が表面化しており、見直しの動きが広がっている。

現場の課題が次第に明らかになりつつある今、日本は教育のデジタル化にどう向き合っていくのか。今後の動向から目が離せない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班