料理メニューはグリーンカレーのみ
さらに、この要町という立地も、グリーンカレー店と国語教室という異色の二刀流スタイルにぴったりハマったのだとか。
「店を構える前に街を歩いてリサーチしてみたら、子どもを乗せられるママチャリが多いことに気づきました。さらに、要町や池袋近辺にはオフィスもたくさんある。だったら、お昼はカレーを食べに来る社会人や主婦層向けのカレー屋、夜は学習塾という形が成立するんじゃないかと考えたんです。
実際、カレーを食べに来た主婦の方が国語教室に興味を持ち、授業の説明を聞いてくださることも多かったですね。そのおかげで、次第に生徒も増えていきました」
行きつけのグリーンカレー屋の閉店が、思いがけず“理想の国語教室”につながることになった。では、お店を開く前の心境はどうだったのだろうか?
「塾のほうは15年の経験があるので、それなりにうまくいくのではないかという思いがありました。でもグリーンカレーのほうは、コロナ禍でのオープンということの不安が大きかったですね。
ただ、絶対に妥協したくないという一心で取り組んでいたら、オープンから1、2週間でリピーターのお客様がつくようになったんです。そこで自分の料理がきちんとお客様に届いているという手応えを感じました」
取材時はちょうど塾の時間帯。店内の暖かい照明や装飾も相まって、確かに一般的な塾よりも心地よく、落ち着ける空間だ。授業中は生徒たちの発言も多く、授業を楽しんでいるように感じた。
メディアでもたびたび取り上げられるというが、この反響は想定外のものだったそうだ。
「ワンオペで運営しているので、店の宣伝はXくらいしかしていないんです。でもまさか看板がここまで宣伝になるとは驚きました。お店を訪れた方がネットで素敵な感想を書いてくださったり、拡散してくださったりして、本当にありがたいです」
取材前は“情報量の多い料理店”という印象だったが、実際に訪れてみると、料理メニューはグリーンカレーひとつのみ。逆に、驚くほどシンプルな店だった。