地元の書店で発見「空飛ぶ車も人も真っ白!」

この事態について、制作した本人はどのように受け止めているのか。青山氏に話を聞いた。

「こんなこと30年間イラストを描いてきて初めての出来事だったし、普通ではあり得ないことです。それがまさか万博の公式ガイドブックで起きたということも信じられなかった」(青山氏、以下同)

今でも驚きを隠せないといった様子だったが、実際に未完成作品が掲載されたことにはいつ気付いたのだろうか。

「通常だと手掛けた作品の書籍は発売前に献本していただけるんですが、今回それがなかったんです。

だから発売された一週間後の3月26日に妻と地元の書店に立ち寄って、平積みされたガイドブックを手に取ってイラストを見たら、『あれ、おかしいな。もっと明るくてカッコいい絵を描いたはずなんだけど…』と違和感を感じました。

それでよくよく見たところ、色を付けたはずの空飛ぶ車も人も真っ白!ビルの窓枠も付いてないし、街路樹の木も仕上げられてない状態でした。太陽光発電に限っていえば、イラストが掲載されてないのにキャプションだけ載っていて、『なんだこれ、すごい間抜けじゃないか』って(笑)」

ガイドブックを見ながら説明する青山さん(撮影/集英社オンライン編集部)
ガイドブックを見ながら説明する青山さん(撮影/集英社オンライン編集部)

掲載された未完成版は「6割程度」の完成度だといい、制作途中にスマホで撮影して編集部に送った画像が引き延ばされている状態。青山さんは発見後、すぐに編集部に問い合わせ、「回収してやり直してほしい」と伝えたものの、すでに初版10万部を刷ってしまい、回収は難しい状況だったという。

「こんなぼやけた絵なのに、名前だけはっきり書かれて目立ってしまって。これが自分の絵と思われたくないし、イラストレーターとして信用にかかわる問題だと思いました」

そこで、青山さんはX上で、掲載されるはずのイラストをアップ。励ましのコメントが多く寄せられ、想像以上の反響となった。

Xでの投稿翌日の30日、協会とJTBの編集部が電話にて青山さんに謝罪。ホームページ上にも謝罪文が掲載され、今後の対応などを公表するに至った。