京田(中日)と小園(広島)の共通点

僕は、年齢を重ねていくうちに、捕る、投げるという動作をどんどん楽にする作業をしていかないといけないと思っています。どれだけトレーニングをしていても年齢とともに筋肉や関節は衰えるので、同じ動きをしていたら、今まで15回できたことが、10回で少し痛みが出るようになります。

だからこそ、体の使い方を工夫することで、同じパフォーマンスを7~8割の力でできるようにして、2~3割の余裕を持つことが、試合に出続けるためには必要になってきます。能力が高い選手は常に10割の力を出せてしまいますが、できるだけ若いうちから余裕を持ってプレーすることを意識してほしいと思います。

現役でいうと、中日ドラゴンズの京田陽太選手、広島東洋カープの小園海斗選手はともに素晴らしい遊撃手ですが、気になっていることがあります。

2人に共通して言えることは、太ももがかなり太くなってきているということ。これは太ももの前側をかなり使って野球をしているということが原因だと思うのですが、この体の使い方でずっとショートを守ると、疲れ方が尋常ではありません。

僕は現役時代、太ももの後ろ側の筋肉を使った動きをすることを意識してきました。例えば、筋力トレーニングをしている時も、太ももの前側を使うと、パフォーマンスは上がっても、筋肉痛ですぐに動けなくなってしまいます。

疲労した状態で同じパフォーマンスを続けると、必ずケガにつながります。そうならないために、お尻と太ももの後ろ側(ハムストリングス)を使うことを意識していました。

守備の時にも、膝を足のくるぶしよりも前に出して構えていると、立ち上がる時に必ず太ももの前側を使わないといけないので、膝が足のくるぶしよりも後ろにあるような態勢でプレーしていました。

そうすることで疲れも軽減し、年間を通して同じパフォーマンスができます。さらに、膝が前に出ていないので、ランナーと交錯してケガをするリスクも減らせるというメリットもありました。

ショートを長く守ったプロ野球界の先輩方の姿を思い返してみても、小坂誠さん、石井琢朗さん、宮本慎也さん、井端弘和さんなどは、同じ感覚を持っておられたのではないかと思っています。