2025年万博も「30回以上行く予定」と言うが、収集のほうは…

以降、万博関連の資料やグッズ収集がライフワークとなっていった。

「高校生のころはお金がなかったので、無料でもらえるチラシやパンフレットを中心に集めていました。会場内で売っている商品は高校生の小遣いで買えるレベルの値段ではなかったので。

ただ閉幕後には、売れ残った万博の商品や展示品がバザーと称して各地で安く販売され始めてから、そういったものをコツコツ集めていきました。もう万博マークがついたものであれば、無我夢中で(笑)」

万博グッズ収集に本腰を入れ始めたのは社会人になってからで、全国各地のリサイクルショップや中古レコード店、古書店を回るのが日課となった。

白井さんが収集した太陽の塔のフィギュアなどの万博グッズ
白井さんが収集した太陽の塔のフィギュアなどの万博グッズ

その後も万博愛は深まるばかり。2002年には、現存していたウルグアイ館の一部を自宅に移設し、土日限定で自宅併設の「万博ミュージアム」を開館、収集したグッズの一般公開も始めた(グッズが増えすぎたため現在は閉鎖中)。

次第にメディアでも取り上げられるようになり、2008年には脱サラして万博グッズを展示した喫茶店「EXPO CAFE」を開業(2011年に閉業)。現在も万博ファンから“ばんぱ館長”の愛称で親しまれている。

そんな白井さんにとって人生で2度目となる地元・大阪での万博開幕についての思いを聞いた。

「今回の万博も面白いですよ! 調べれば調べるほど楽しそうで! イベントは毎日のようにあるし、各国のレストランもたくさん出店します。万博はなんだかんだ食べ歩きが一番楽しいんです。それだけで何回も行かなアカンし、楽しみでしゃあない!

70年万博のときも『ニュージーランド館のアイスクリームが美味しかった』って後から聞いて悔しい思いをしたんで。みんなが文句いってる1杯3000円のラーメンだってもちろん食べますよ!」

4月だけですでに6回分のチケットを予約済みだといい、「会期中は30回以上は行くつもりやな」と意気込む。

しかし、今回も万博グッズ収集に邁進するのか、と尋ねると白井さんからは意外な言葉が返ってきた。

「今年の万博は集めない。いまさら集めてもしゃあない。

そりゃ生きてるうちに2回目の万博を体験できる喜びはありますよ。一生かけても回ることのできない世界の国々と触れ合えるワクワク感は、僕だけでなくできるだけ多くの人に味わってほしいと思ってます。

でも自分にとって1970年の万博を超える体験にはならないことは分かっているんです。だから今回は深追いしません。それにこれ以上集めたら歯止めが利かなくなりそうやし…(笑)」

人生2度目の大阪万博は青年時代とは違った視点で楽しみたいと話す白井さん。果たして2025年大阪・関西万博は人々の胸にどんなドラマを刻むのか。

取材・文・撮影/木下未希 

日本随一の万博コレクター・白井達郎さん
日本随一の万博コレクター・白井達郎さん