陰謀論好きの人には陰謀論が届く仕組みに
すき家をハメたと主張する主要なポストは、軒並み5万以上の「いいね!」がついて広く拡散されており、今もなお、さまざまな“すき家擁護”のポストが拡散され続けている。
現在のXではもはや、すき家は被害者のようにも見えるほどだ。
なぜこのようなウワサがSNSでここまで多く広がっているのか。ITジャーナリストで、情報リテラシー教育を専門とする成蹊大学客員教授・高橋暁子氏に話を聞いた。
「SNSにはアルゴリズムによって、ユーザーの興味関心や好みに合った投稿を積極的に表示する仕組みがあります。たとえば陰謀論好きな人には陰謀論に関する投稿を表示する可能性が高いことが分かっています。それによって、それだけが真実と思い込む“エコーチェンバー現象”※が働くというわけです。
(※自分と似た意見や思想を持った人々の集まる空間やSNS内などでコミュニケーションが繰り返され、自分の意見や思想が肯定されることによって、それらが世間一般においても正しく、間違いないものであると信じ込んでしまう現象)
検索する場合も検索結果はフラットではなく、やはりユーザーの興味関心を反映させた結果が表示されます。見たい情報しか見えないようになっている“フィルターバブル”状態になっているのです。
このような特性によって陰謀論を信じるユーザーたちがSNSで投稿したことで、現状の状態となっていると思われます。一部のユーザーの推論や願望が投稿されたことで、そうあってほしいユーザーがそこに乗っかり、拡大していったのではないでしょうか」(高橋暁子氏、以下同)
陰謀論に乗ってデマを拡散してしまった場合は逮捕されるケースもあるが、今回は、そのような陰謀論によって“企業を守ろう”としている。これはどのように扱われるのだろうか。
「過去には、誤った推論によって、無実の方を犯人扱いするなどの風評被害も起きています。今回はすき家をかばう論調のため、名誉毀損罪などで訴えられることはないでしょう。しかし、陰謀論がいきすぎて、異物混入を投稿したユーザーを嘘つき呼ばわりなどした場合は、名誉毀損罪などで訴えられる可能性があります」
たとえ何かを守るためであっても、デマの拡散は許されるものではない。何気なく押した「いいね」「リポスト」のボタンにどれほどの重さがあるのか、改めて考えるべきだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部