ガラをかわすのはそう難しいことじゃないはずだよ」 

はたして見立容疑者も山口容疑者と同様にタイに身を潜めているのか、あるいは“潜伏説”が根強いカンボジアにとどまっているのか。いずれにしても、捜査上のハードルは低いとはいえない。カンボジアの詐欺グループと接点のある金融業者が現地事情をこう明かす。

「カンボジアには主に三つの犯罪グループが勢力を張っている。中国マフィア系、カンボジア人、そして日本人のグループだ。日本人のグループを仕切っているのは、半グレとかではなくヤクザだよ。名前は言えないけどね。

向こうの公務員はほぼ全員が金で動くから、たとえば税関なんかも賄賂さえ渡しておけばフリーパスで何でも持ち込める。空港職員も組織ぐるみで買収しているから、誰がいつ入国したか、すぐにわかる。オレたちみたいな不良も入国した途端に向こうのグループに拉致られたりするぐらい。

たとえば、日本からサツカン(警察官)が捜査のために入国したとする。すると金で抱き込んだ職員がすぐに知らせてくれる。積極的に逃がしてくれたりっていうのはもちろんないけどね。

見立氏の話は聞いたことないけど、カンボジアにいるなら、ガラをかわす(身を隠す)のはそう難しいことじゃないはずだよ」

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見立容疑者が主導したとされる「フラワー事件」を契機に、警察白書には組織犯罪の形態に「準暴力団」という類型が加わり、「半グレ」という存在の危険性が世に知らしめられた。あれから約13年。犯罪史に残る事件の輪郭がいま、おぼろげに現れようとしている。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班