「噂は昨年ごろから確かにあった」

山口容疑者については、日本に身柄が移されてから、逮捕状を取った埼玉県警による本格的な取り調べが始まるとみられるが、その供述内容を注視するのは同県警の捜査員だけではないはずだ。

警察当局は、東京・六本木のクラブ「フラワー」襲撃事件の主犯格である見立真一容疑者(46)と、山口容疑者の接点にも捜査の焦点を合わせるものとみられる。

写真はイメージです
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「見立容疑者の逃亡先として名前が挙がっていた国のひとつが、山口容疑者が拠点としていたカンボジアです。山口容疑者は現地で見立容疑者と接触していた可能性が極めて高い。このところカンボジアでは特殊詐欺グループの拠点の摘発が相次いでいますが、これは日本の警察庁と現地警察との間での情報連携や捜査協力が進んでいる証左です。 

山口容疑者と見立容疑者の現地での動向についても情報収集を進めているとみられ、山口容疑者への取り調べで、検挙につながるようなより詳細な情報を得ようとするでしょう」(同前) 

警視庁ホームページより
警視庁ホームページより
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実際、見立容疑者の動向を巡っては、昨年半ばごろから不穏な動きもあったという。東南アジア諸国に渡航する機会の多い、暴力団関係者が声を潜めて言う。

「見立がカンボジアにいるらしい、という噂は昨年ごろから確かにあった。表立って言われるようになったのは、昨年9月に現地の犯罪事情についてレポートした週刊誌の記事が出てから。

複数の(関東)連合関係者が見立と行動を共にしていると聞いていたし、その中にトミーの名前も挙がっていた。ほかにも連合の人間とは別に、見立と接点があり、日本とカンボジアを行き来する人間がいるとも聞いていた。

今年に入ってからもカンボジアでの見立の動向に関する記事が出て、本人のものとされる真偽不明の写真も出回ったから、何か動きがあるのか、と気になってはいたんだ」

山口容疑者の身柄拘束のニュースは、そうしたいくつもの伏線の延長で出てきただけに、関係者の間では「俄然注目を浴びた」(前出の暴力団関係者)という事情もある。