車上生活を選んだきっかけ

月額3万3千円でレンタルした車を家変わりに、現在Amazon配達員として働く田川豪氏(29)は2022年12月から自らの意思で車上生活を始めた。なぜ家を手放し車上生活を選んだのか。

もともとのきっかけは家賃滞納により、家を追い出されるところから始まったと話す。

「家賃が20万円の家で、当時大学生だった友人と2人で暮らしていたんです。家賃の配分は僕が17万円、友人は大学生なので3万円でした。

でも友人が彼女と一緒に住むと言って家を出て行ってしまったんです。この先、自分1人で家賃も高く、広いこの部屋に住む必要はあるんだろうかと悩んだことから始まります」

そんなある日、もともとギャンブルが大好きだった田川さんは、家賃用にとっておいたお金をパチンコに注ぎ込んでしまった。

配達員をしながら車上で生活する田川さん(筆者撮影)
配達員をしながら車上で生活する田川さん(筆者撮影)
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「当時はまったく働いてなくて、FXで稼いだ金を食い潰すような生活をしていました。一度120万円ほど一気に稼いでしまったのが問題でしたね。

そこから金が尽きるまで働くのをやめようと思ったんですが、予想より早くどんどん貯金が目減りしていき、1か月ほどで使い切ってしまいました。なので、『そろそろ働かなきゃな…』と思っていたんです。

でも、何を血迷ったか、家賃用として取っておいたお金をパチンコで少しでも増やそうと思いました。結果は惨敗で家賃が払えなくなってしまって…」

しかし、一度怠けると何にもやる気が起きなくなってしまう性分もあり、その後もまったく働く気が起きずクレジットカードのキャッシングや消費者金融に手をつける自堕落な生活を続けていた。

「過去にFXでめちゃくちゃ稼いだことがあったので、クレジットカードの限度額はどんどん上がっていきました。

なので、かなりの額をキャッシングできるようになっていて、予想以上に使い込んでしまったんです。頭の片隅では、『またFXやれば取り戻せるだろう』といった甘い考えがあったんだと思います」